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【医師に聞く】カロリー制限だけのダイエットが失敗の原因?健康的に痩せるダイエットメソッドとは

「ダイエットをしているのになかなか痩せない」「少し痩せてもすぐにリバウンドしてしまう」など、ダイエットに失敗してしまう原因は、カロリー制限に頼ったダイエットにあるかもしれません。

そこで今回は、ダイエット・アンチエイジング・美容などの専門外来を持つ、渋谷セントラルクリニックの大友博之先生に、痩せる・太るのメカニズムやカロリー制限に頼ったダイエットが失敗してしまう理由、健康的に痩せるための理想の食事や「ダイエットメソッド」についてお伺いしました。

大友 博之

渋谷セントラルクリニック エクゼクティブディレクター

東京慈恵会医科大学ペインクリニックで北原雅樹医師に師事し、慢性の痛みを始めとする慢性疾患を治療する際の栄養やエクササイズなどのライフスタイルの重要性について学ぶ。またペインクリニックの枠にとどまらず、世界5ヵ国のアンチエイジングクリニックと提携して予防医療、ホルモン補充療法においても最先端の診療を提案している。外来診療にとどまらず、料理教室や医食同源のコンサルティングを通じて21世紀型の健康的な生活のあり方を提案している。

渋谷セントラルクリニック エクゼクティブディレクター 大友博之

なぜ太る?身体のメカニズムを知ろう

体重が増えて悩む様子

ダイエットを考える際には、まずは太る理由・メカニズムについて知っておきましょう。体重が増える理由は人によってさまざまですが、主に以下が挙げられます。

日常生活で消費できるカロリーよりも食事から摂取するカロリーが多いから

体重が増える理由のひとつは、日常生活の中で使われる消費カロリーよりも食事から摂取するカロリーが多いからです。人は運動したり歩いたりしているときはもちろん、寝ているときや安静にしているときでもカロリーを消費します。消費されなかった余剰なカロリーは、最終的に脂肪として体内に蓄えられます。

運動不足になっているにもかかわらず、食事量が以前と同じもしくは増えていると、当然消費カロリーと摂取カロリーのバランスが取れなくなってしまいます。また、安静時の消費カロリー(基礎代謝量)が少ない方も、摂取カロリーが消費カロリーを上回り、脂肪で体重が増加します。

代謝を上げるためのホルモンの働きが悪くなっているから

代謝を上げてより多くのカロリーを消費できるようにするには、代謝に関わるホルモンを活性化させることが重要です。しかし、ホルモンの働きは加齢にともなって低下します。また、マグネシウムや亜鉛といったミネラルの不足も、ホルモンの働きを低下させます。

睡眠不足も太りやすい体質をつくる原因に

睡眠不足や睡眠の質の悪さも、太りやすくなる原因のひとつです。睡眠時には、成長ホルモンが分泌され、細胞の新陳代謝が活性化したり、脂肪の分解・筋肉の修復を行ったりします。しかし、しっかり眠れていないと、成長ホルモンの分泌が正常に行われなくなり、これらの機能が十分に働きません。

また、睡眠不足によって朝すっきり起きられないことも、太りやすい体をつくる原因になります。起床時、体内ではコルチゾールというホルモンが分泌され、この分泌によって血糖値が安定する・脂肪がエネルギーに変換されやすくなるなどの作用が得られます。しかし朝すっきり起きられないということはコルチゾールが正常に分泌されていないサインかもしれません。

慢性的なストレスによるコルチゾール・インスリンの過剰分泌

前述したコルチゾールは、ストレスによって分泌されます。ストレスが多く、コルチゾールが過剰に分泌されると、次にインスリンの分泌が促進されます。インスリンは血中の糖を脂肪に変換して体内に溜め込むホルモンですが、過剰に分泌されると脂肪を貯めやすくなってしまうのです。

カロリー制限だけに頼ったダイエットの失敗・リスクとは

ダイエットに失敗し膝を抱える様子

ダイエットをするときにカロリー制限だけに頼る方は少なくありません。しかし、カロリー制限だけに縛られたダイエットは失敗しやすいばかりか、リスクも考えられます。

栄養不足に陥って体調を崩すリスクもある

カロリー制限だけで痩せようとすると、必要な栄養素が摂取できず、栄養素失調を引き起こす可能性があります。その結果、さまざまな体調不良につながる恐れも。例えば、鉛やマグネシウムが不足すると、筋肉がつりやすくなる・肌のツヤが悪くなる・口内炎ができやすくなる・髪の毛がパサつくなどの変化が。ほかにも、生理不順になったり貧血が起こりやすくなったりすることもあります。

ホルモンバランスが崩れて痩せにくくなることも

食事制限によって必要な栄養素を十分にとれていないと、代謝を上げるホルモンを作るのに必要なたんぱく質、ビタミンやミネラルも不足しやすくなります。そのため、「頑張っているのになかなか痩せられない」といった事態に陥ることがあります。

筋肉が減るのに脂肪が減らない

食事制限によって、筋肉をつくる材料となるタンパク質が不足することも考えられます。ダイエットでは体重を減らすことよりも脂肪を減らすことが重要です。しかし、タンパク質が不足すると筋肉量ばかりが減ってしまい、体重は落ちているのに脂肪は減らないままという事態になる恐れもあります。

「0キロカロリー」が太る原因に?

ダイエット時には、「0キロカロリー」と表記されている人工甘味料を使ったお菓子や飲み物を選んでいる方も多いかと思います。しかしこれらを長期的に摂取するのはおすすめできません。

というのも、0キロカロリーのお菓子や飲み物には、砂糖以外の人工甘味料で甘みがつけられています。カロリー自体は0でも、血糖値の上昇を招くため、インスリンが多く分泌され、血中の糖が脂肪として蓄えられやすくなってしまうこともあります。また、成分自体が健康に良くない恐れがあるというのも、憂慮すべき点です。

実はカロリー制限ができていない人も多い

カロリー制限をしているはずが、実際には誘惑に負けてしまっている…という方は多くいます。ついお菓子を食べてしまったり、暴飲暴食をしてしまったり。長期的なカロリー制限はストレスもかかるため、ご自身で厳格に実践するのはなかなか難しいとも言えます。

健康的にダイエットを成功させるための3つの食事方法

健康的な食事を摂る様子

健康的に痩せるための食事方法のポイントは「1.カロリー制限 2.糖質制限 3.腸の炎症を抑える」の3つ。この中から、ご自身のダイエットの目的や目標(いつまでにどのくらい痩せたいのか)・健康状態などに応じて組み合わせることが大事です。それぞれのポイントをご紹介します。

1.適切なカロリー制限

ここまでに解説したデメリットが出ないように、適切な方法でカロリー制限を実施しましょう。自分が生活の中でどれだけカロリーを消費できるのか(基礎代謝量)を把握し、それに見合ったカロリー摂取を心がけるのがおすすめです。
基礎代謝量を把握するためには、基礎代謝が測れる体重計を利用するがひとつの手です。また、より正確な基礎代謝が知りたいという方は、専門のクリニックで医師に相談してみると良いかもしれません。

2.糖質制限

糖質の多い食事をとると、急激に血糖値が上がり、それを下げるためにインスリンが分泌され、血中の糖を脂肪に替えて体内に蓄えるというメカニズムがあります。そこで、「糖質の摂取を控えて血糖値の急上昇・インスリンの分泌を抑えよう」というのが、糖質制限ダイエットです。
糖質を多く含む炭水化物(ごはんやパン・パスタなどの主食)や甘いお菓子などを控えます。糖質制限には、結果が早く出やすいというメリットがあります。個人差はありますが、3ヶ月から半年程度のスパンで痩せられる方も少なくありません。
1ヶ月で痩せたいのであれば、糖質の多い主食はもちろん、野菜や果物・調味料の糖質にも気を配るなど、ストイックに行った方が良いでしょう。反対に半年かけて痩せたいというのであれば、夜だけ主食を食べないなど、マイルドな方法もあります。

3. 腸の炎症を抑える

現代人はさまざまな種類の食べ物を食べることによって、腸の粘膜が荒れて炎症を起こしがちです。腸の粘膜が炎症を起こしていると、代謝に必要なホルモンが分泌されにくくなり、結果として痩せにくい体になる恐れがあります。
そこで、腸を休めて炎症を抑えるための食事が推奨されます。代表的なのが、ファスティング(断食)やマクロビ(玄米や全粒粉を主食に、豆類や野菜・海藻などを中心とした食事方法)など。2〜3日行うと、腸内細菌のバランスが変わり、炎症が抑えられる効果が期待できます。
なお、ファスティングやマクロビによって一時的に体重が減ることはありますが、必ずしも脂肪が落ちるわけではありません。これらは腸をリセットし整える意味で取り入れたい方法です。

このほか、代謝アップに欠かせない栄養素であるビタミンやミネラルをサプリメントで摂ったり、筋肉を作るのに必要なタンパク質をプロテインで補ったりするのもおすすめです。

ダイエットを継続させるためのモチベーションの保ち方

ダイエットに成功したイメージ

ダイエット成功に一番大事なのは、モチベーションを保つこと。そのためのコツをご紹介します。

ダイエットの目的・目標を明確化しよう

「なぜ痩せたいのか」「いつまでに痩せたいのか」「どのくらい痩せたいのか」を明確化しましょう。理想像を描くことでモチベーションアップにつながります。また、ダイエットのプランも立てやすくなります。

アプリでダイエットを記録・管理しよう

アプリを使って体重や活動量・睡眠の時間や質などを記録・管理するのもおすすめです。ダイエットは必ずしもすぐに結果が出るわけではないので、挫折しそうになることもあるかと思います。しかし、毎日記録をとってダイエットの状況を可視化することで、自分がやっていることがうまくいっているのか・そうでないのかを判断しやすくなります。どのような方法であれ、数値や文章で記録しておくと、モチベーションをキープしやすくなるでしょう。

まとめ

これからダイエットをしたい方や、これまでカロリー制限だけで痩せようとして失敗してきた方は、ぜひ今回ご紹介した食事方法を実践してみてください。あわせて、筋トレやランニングなどの有酸素運動・ストレッチポールを使った姿勢を正すストレッチなどにも取り組みましょう。食事方法とともに運動を行うことで、より痩せやすく太りにくい体づくりにつながります。

なお、本格的にダイエットをしたい・自分に最適な方法を知りたいという方は、一度ダイエットを専門に扱うクリニックで検査や指導を受けることを視野に入れてみるのも良いでしょう。

渋谷セントラルクリニック エクゼクティブディレクター 大友 博之

※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。

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