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まずは7日間。グルテンを摂りすぎない健やかで美味しい生活のヒント
健康とくらし
2017年07月06日掲載
飲んだ後の〆といえば「ラーメン」という日本人は多いかもしれません。実は世界にも〆として愛される食べものが存在します。例えばイタリアではパスタ、メキシコではタコス、アメリカではピザなどを〆に食べる方も多いようです。これらの料理の共通点は何だと思いますか?
それは「小麦を使っている」ということ。
小麦は強い中毒性を持ちます。小麦を食べる生活を続けていると中毒状態になってしまい、飲んだ後や口さみしいときに小麦を欲する体になってしまうのです。それは日本人も欧米人も一緒で、しかも自覚しにくいという特徴があります。
また、小麦には健康な体作りを阻害する「グルテン」というタンパク質が含まれています。つまり小麦を食べ続けていると、体によくないグルテンを摂取し続けることになり、しかも食べるのをやめられないという負のサイクルに陥ってしまうのです。
そんな小麦の中毒性とグルテンから開放されようと、一流スポーツ選手やセレブが実践して話題の食事法が「グルテンフリー」です。今回は、辻ウェルネスクッキングスクールの副校長・辻ヒロミさんに、グルテンフリーの基礎知識や私達が日常生活で実践できる方法を教えていただきました。
辻 ヒロミ
監修
辻ウェルネスクッキング近鉄あべのハルカス校 副校長。管理栄養士・調理師・フードスペシャリストの資格を持つ。日本国内だけではなく、フランスをはじめとしたヨーロッパ各国・北米・東南アジアの国々を訪問し、体に優しい食品や食材を探求。美味しくてヘルシーな料理を研究して、栄養調理講師としてテレビでも活躍中。
※記事中の「」(カギカッコ)内のコメントは辻ヒロミさんによるものです。
INDEX
そもそもグルテンとは?
グルテンとは小麦やライ麦などから生成されるタンパク質のこと。小麦に水を加えて練ったときに発生するねばねばしたグルー(のり)状の成分がグルテンです。グルテンは腸内で吸収されにくく、他の栄養素の吸収を阻害するという特徴があります。
グルテンフリーの4つの効果
グルテンフリーの健康効果はさまざま。辻さんが教えてくれた、4つの効果をご紹介します。
1. 寝つきが良くなる
「グルテンを抜くことで、睡眠の誘導に必要なカルシウムが腸内でしっかりと吸収されるようになります。グルテンフリーを始めると、ストンと眠れるようになるでしょう」
2. 体重が落ちる
「食事からグルテン(小麦)を抜くということは、小麦に含まれた糖質の摂取が減るということでもあります。『グルテンフリーで体重が減った!』という声をよく聞きますが、その要因のひとつは糖質の摂取量の減少にあります」
3. アンチエイジング効果
「糖質は肌老化の原因でもあります。小麦を使用した食品の中には砂糖が多く含まれているものもあるので、グルテンフリーで美しいお肌を保つことができます」
4. 肉体改善ができる
「栄養素が腸内できちんと吸収されるようになるので、より良い肉体作りができます。特に運動をする方はその健康効果を感じやすいかもしれません」
たった一週間!日本人に合ったグルテンフリーの実践方法
ご紹介した4つの効果を体感するために、まずは最低1週間、グルテンフリーを心がけてみましょう。
【期間】1週間
【控える食べもの】小麦・大麦などが含まれる食べもの全般
【摂取したい食べもの】小麦食品に変わるタンパク質(大豆・お肉など)や炭水化物(米類・芋類など)
たった一週間、上記のポイントに気をつけるだけなのですが、日本人が完全にグルテンを食事から抜くことは非常に難しいと言えます。なぜなら、日本食の要である醤油や味噌汁にもグルテンが含まれているからです。
「私達日本人がグルテンフリーを実践するときは欧米人の方法を完全にまねせずに、できる範囲で楽しみましょう。例えば飲み会の〆のラーメンを十割そばにする、毎朝のパン食を白米に変える、など和食を楽しむ一週間にしてみてはいかがでしょうか。『フリー』いう言葉はゼロという意味ではありません。継続を優先して実践することが大切です」と辻さんはアドバイスをします。
おすすめグルテンフリーレシピ
辻さんのおすすめグルテンフリーメニューを3つ、eo健康レシピの中からご紹介します。
【ぷちぷちそば米の和風ミネストローネ (147kcal)】
そば米でタンパク質を補う栄養満点スープ。大豆を入れるのもおすすめです。小麦を使用していない市販コンソメで作ると、より良いでしょう。
【きのこたっぷりチャプチェ(149kcal)】
麺類が食べたくなったときは、春雨で作ったチャプチェはいかがでしょうか。ライスヌードルにして、パッタイ風にするのもおすすめです。
【真夏のガパオライス(416kcal)】
こんなボリュームメニューもグルテンフリー。豆腐入りなので、良質なタンパク質も摂れます。グルテンに阻害されることなく、夏野菜の栄養がしっかりと肉体に吸収されます。
思わぬ落とし穴!グルテンが入った意外な食べもの
醤油や味噌だけではなく、私達の身の回りにはグルテンの入った料理があちこちに存在しています。最近は成分表を記載しているレストランも多いので、ファミレスなどに行ったときに成分表チェックをするのも面白いかもしれません。
辻さんが考える、グルテン入りの意外な食べものをご紹介します。
カレー
「市販のカレールウにはグルテンが含まれています。
しかし、カレーパウダーなら問題ありません」
そば
「つなぎに小麦粉が使われているそばは避けましょう。
十割そばなら問題ありません」
味噌・醤油
「味噌や醤油にもグルテンがあります。完全に避けることは難しいので、自炊の際は使用量を控えるなどの工夫で調整しましょう」
ビール
「麦芽などを使ったビールにはグルテンが含まれています。サワーや酎ハイもグルテンが含まれている可能性が高いので、注意しましょう」
あなたは大丈夫?意外と多い軽度のグルテンアレルギー
グルテンフリーをしてかなり体質改善がされる方は、もしかしたらグルテンアレルギーやグルテン過敏症という病状を持っていたという可能性があります。「自覚していないだけで、アレルギーやグルテン過敏症の方は多くいます。症状が軽度なので、アレルギーだと気がつかない方がほとんどなんです」と辻さんは話します。
- 食事制限をしても体重が減らない
- 栄養バランスに配慮した食事をしているのに肌荒れが治らない
- どんなに運動をしてもパフォーマンスが上がらない
- いつもけん怠感がある
こんな症状がグルテンフリーで改善される方は、小麦アレルギーである可能性が大いにあります。自分の無自覚なアレルギーに気がつけるという意味でも、一週間小麦を抜いてみることに価値があるといえるでしょう。
グルテンフリーで自分の体と向き合う一週間を
小麦を使ったおいしい食べものをあげるとキリがありません。うどんやてんぷらが食べられなくなるなんて、想像しただけで寂しくなってしまいますよね。
でも、自分の体が今より健康になったり、アレルギーに気がつくことができたりするのなら、長い人生の間の一週間だけ小麦と距離をおいてみるのも悪くはないものです。
グルテンが使われている料理や食品を確認する知識と習慣をつけるだけでも、これまでの体が変わるはずです。とりあえず一週間グルテンを抜いてみて、体の変化を楽しんでみてはいかがでしょうか。
※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。