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メラトニン・リズムを整えてぐっすり眠るための3つのポイント

内海裕子さん

睡眠改善シニアインストラクター・上級睡眠健康指導士

生活情報サイトの健康・医療領域担当編集者として「睡眠・快眠」ガイドサイト立ち上げ運営をする。それを機に睡眠研究の第一人者である白川修一郎氏(日本睡眠学会理事)に師事。「朝時間.jp」創刊編集長を歴任し、「快眠のための朝の習慣・夜の習慣」他、執筆・関連書籍多数。

快眠のカギは眠り始め2~3時間の深い睡眠

忙しい現代人が毎日満足するまで睡眠をとることは難しいかもしれません。そんなとき意識してほしいのが、眠り始めて2~3時間の睡眠の質を高めるということです。特に眠り始め2~3時間の間に現れる深い睡眠は、大脳に休息を与える眠りと考えられています。その日頑張って働いた脳を休ませてその機能を修復するだけではなく、ストレスの緩和などの働きもあります。「ちょっとしか眠っていないのにすっきり目覚められた!」「すっごく嫌なことがあったのに一晩眠ったらどうでも良くなっていた」そんな経験をしたことがある方もたくさんいると思うのですが、これは脳がしっかりと休息をとることができたという証拠です。

忙しくてもできる! 「メラトニン」をコントロールして快眠を手にしよう

ぐっすり眠ったという感覚である“熟睡感”を高めるためには、スムーズな入眠も大切な要素です。そのためには自然な眠りを誘発するといわれる「メラトニン」というホルモンの分泌を促すことがひとつのカギになります。今回はこのメラトニンのコントロール方法をご紹介します。

ポイント1・太陽光でメラトニンの分泌を促す

メラトニンは日中に太陽光を浴びることで分泌が促され、夜の快眠に導いてくれます。例えば、たまの休日に外で活動的に過ごすとすごく眠たくなりますよね。この理由のひとつとして、太陽光を多く浴びた日の夜はメラトニンがしっかりと分泌されているということがあげられます。
毎朝の通勤で少しでも外を歩くことを習慣づけたり、お昼休みにコンビニに行くついでにちょっと光を浴びてみたり、ちょっとでもいいので日々太陽を浴びる工夫をしてメラトニン分泌を促しましょう。

ポイント2・夜間はメラトニン分泌を妨げる蛍光灯・LEDの強い光を避ける

夜に蛍光灯やLED・スマホから発せられるなどの青白い波長の強い光の刺激を受けることで、メラトニンの分泌は抑制されてしまいます。例えばオフィスや塾の蛍光灯・コンビニの灯り・電車の照明などは、どれもメラトニン分泌を妨げやすい光です。できれば、眠る1~2時間前はこのような強すぎる光を避けて生活することが快眠のコツです。帰り道のコンビニに寄る習慣をやめてみたり、家の灯りを蛍光灯からリラックスを促すオレンジ色の波長の光空間を演出できる白熱灯色の間接照明に変えみたりして、眠る前の「ほの暗い環境」を作り出せるような工夫をしてみましょう。海外ホテルのようなリラックスできる穏やかな灯りをイメージしてみてください。

実は我が家の寝室は優しいオレンジ色の光に満たされていて、照度はかなり低めです。そのほの暗い寝室環境のおかげか、私も子供も毎晩ストンと眠りに落ちます。面白いことに、私の子供が明るい蛍光灯のついたお友達のお家に遊びに行くと、その日の晩は全然眠らないんですよ。光とメラトニンの結びつきの強さをしみじみと感じます。

ポイント3・快眠おすすめアイテム&フードを賢く使おう!

クリップライト&リモコン
賃貸物件にお住まいなどでお部屋の灯りを蛍光灯以外に変えることが難しい方におすすめしたいのがクリップライトです。白熱灯色の照明をセットしたクリップライトをお好きな場所に挟み間接照明にして、夜はその灯りの中で過ごしてみてください。驚くほどすぐに眠れます。眠くなったときにいちいちクリップライトを消しに立ち上がるのも手間なので、家電をリモコンでコントロールできるようコンセントに設置できるリモコンコンセントを一緒に購入するとより便利です。

タンパク質たっぷりの朝食&ランチがおすすめ

メラトニンを分泌するために、豆や豆製品・牛乳・ナッツ・魚類・肉類・アボカド・バナナ類などからタンパク質を摂取することもおすすめです。良質なタンパク質から摂取できるトリプトファンという必須アミノ酸は、セロトニンというホルモンのもとになります。セロトニンはやがてメラトニンに生合成されます。朝食やランチで積極的にタンパク質を摂取することでセロトニンおよびメラトニンを増やして、快眠につなげましょう。

人によって適切な睡眠時間は異なることを知る

時々「快眠のために8時間睡眠をしないと」という声を聞きます。しかし、この8時間という数字に科学的な根拠はありません。必要な睡眠時間は人それぞれで異なりますし、季節や年齢でも変わります。例えば英雄ナポレオンは3時間睡眠でしたが、天才アインシュタインは10時間睡眠をとっていたといわれています(※諸説あります)。一概に「8時間睡眠が良い」と思い込まずに、ご自身に合った睡眠時間を探りましょう。何時間睡眠が適しているか知りたい方は、睡眠日記をつけることがおすすめです。毎日眠った時間をメモして、そのときの感想に点数をつけます。1カ月ほど自分の眠りを観察することで、自分に適した睡眠時間が見えてきますよ。

快眠のために能動的に行動する意識を持つ

実は私も以前は忙しい日々を送っており、深夜まで仕事をして、いつも睡眠不足の状態ということがありました。でも「この生活をしていてはダメになる」と一念発起して生活を一気に変えました。
意図的に早く出社して定時で退社するように努め、睡眠をしっかりとるために生活を整えていきました。また当時勤めていた会社に対して「睡眠はいかに人間にとって大切か」「睡眠不足の私が会社に与えるダメージ」を啓発活動したり。
「眠りたい!」と思っているだけでは快眠は得られないですし、眠りを妨げる光の下からも離れられません。自分で能動的に快眠を求めて行動をすることも大切なことのひとつなのではないかと思います。

まとめ

今回ご紹介したメラトニンコントロールは快眠方法のひとつですが、質の高い睡眠は日々の生活習慣に基づくさまざまな要素が上手に組み合わさって生み出されるものです。快眠を簡単に得られるとは考えず、真剣に向き合ってほしいと思います。

仮にあなたが30代だとしたら、現代の平均寿命から考えると人生はまだまだ倍以上続きます。人生という長距離走を気持ちよく最後まで快適に走りきるためにも、睡眠ときちんと向き合った生活をして人間らしく生きていきましょう。

監修

睡眠改善シニアインストラクター・上級睡眠健康指導士 内海裕子

公式サイト URL:http://hirococoro.com/
著書 「快眠のための朝の習慣・夜の習慣 (だいわ文庫)」
URL: http://amzn.to/2qhPGcx

※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。

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