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喘息の原因とは?症状が出たときの対処方法・治療方法を解説

「急に咳や痰が出る」「呼吸時に息苦しさを感じる」「ゼーゼー・ヒューヒューといった呼吸音がする」といった喘息の症状にお悩みの方もいるのではないでしょうか。喘息は、何らかのきっかけで大人になってからも発症することがある疾患です。そこで今回は、喘息の症状や原因・病院での治療方法の他、発作が出た際の対処方法や予防方法などについて、内科・呼吸器内科医の荒牧竜太郎先生に教えていただきました。

荒牧 竜太郎

【監修】内科・呼吸器内科医 

1998年埼玉医科大学 卒業。1998年福岡大学病院 臨床研修。2000年福岡大学病院 呼吸器科入局。2012年荒牧内科開業。

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喘息とは?症状・特徴を解説

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喘息とは?

喘息は、慢性の呼吸器疾患です。気道に慢性的に炎症が起きることで「発作性の咳や痰」「呼吸時の息苦しさ」「喘鳴(ぜいめい)※ゼーゼー・ヒューヒューといった呼吸音」が生じます。また、慢性炎症によって気道の過敏性が高まり、外部からの刺激に対して過剰な反応を起こしやすくなる状態にもなっています。

喘息の症状と特徴

喘息の代表的な症状としては以下があります。

  • 発作的に咳が出る
  • 呼吸をする際に、「ゼーゼー・ヒューヒュー」といった音がする
  • 喉に痰が引っかかっている感じがする
  • 息苦しい

また、喘息は以下のような状況で発症しやすくなる他、症状が強くなる傾向があります。ときには、睡眠中に咳で目を覚ましてしまうほど症状が悪化します。

  • 夜間や早朝に咳などの症状が強くなる傾向がある
  • 季節の変わり目、気温差が激しい時に症状が出やすい
  • 冷たい空気を吸い込んだ刺激で症状が出やすい
  • 疲れている時や風邪を引いた後などに症状が出やすい
  • 運動したり走ったりした後に症状が出やすい
  • タバコの煙や強い匂いなどに反応して症状が出やすい

大人になって喘息にかかることも

喘息は、どの年齢からでも発症します。「子どものころからの体質によるもの」といったイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、大人になってから発症することもあるという点を覚えておきましょう

喘息が発症・悪化する原因を解説!放置するとどうなる?

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喘息の代表的な原因は?

喘息の原因は完全には解明されておらず、不透明な部分があります。現状、原因の可能性が高いとされているのは以下の3つです。

アレルギー反応

喘息の人は何らかのアレルギーを持っているケースが多く、ホコリ・花粉・ペットの毛などのアレルゲンの侵入によって喘息発作が誘発されるとされています。アレルゲンの種類は、その人のアレルギーの原因によりさまざまです。

感染症

風邪やインフルエンザなどの感染症が喘息の発作を引き起こしているという説があります。ウイルスが侵入し、気道に感染することで喘息の発症、症状の悪化を引き起こします。

遺伝的要因

家系に喘息の人がいる場合、何らかの原因で喘息を発症するリスクが高くなるとされています。ただし、遺伝的要因よりもそれ以外の要因の影響が大きいと考えられています。

喘息はどんな時に悪化する?

喘息の症状は、以下のようなときに悪化しやすくなると考えられています。

発作を引き起こすトリガーがあったとき

アレルゲン(花粉やホコリ)・感染症(風邪やインフルエンザ)・冷たい空気・喫煙などのトリガーが喘息の発作を引き起こすことがあります。

ストレスの影響も

精神的なストレスと喘息の関係ははっきりとわかっていませんが、ストレスによるホルモンの変化等が免疫機能を変化させたり、喘息を悪化させたりする可能性があると言われています。

運動

運動によって気道が刺激され、喘息の症状が悪化することがあります。

気温の変化

急激な気温・湿度の変化が気道に刺激を与え、喘息の症状を悪化させることがあります。

喘息を放置するとどうなる?合併症のリスク

喘息の症状がそこまで重くない場合、そのまま放置してしまっている人もいるかもしれません。しかし、放置することには以下のようなリスクがあります。

重症化につながる可能性がある

喘息を治療せずに放置すると、慢性炎症が続くことになります。炎症が慢性化すると、「気管が狭くなったまま戻りにくくなる」「吸入剤などの薬剤の吸収が悪くなり、薬の効果が出づらくなる」といった可能性も。結果、症状が悪化し、呼吸機能が低下してしまいます

合併症のリスク

症状を放置している間に重度の発作が起きたり喘息症状が悪化したりした場合、「気胸(※肺に穴が空いてそこから空気が漏れ、肺がしぼむ病気)」を併発する可能性があります。

喘息の治療方法は?どのくらいで効果が出る?

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喘息の症状が出た場合、どの科に相談するべきなのか?またどのような治療方法があるのかについてご紹介します。

喘息の疑いがある場合、何科に行けばいい?

呼吸器科やアレルギー科、内科を受診しましょう。症状が数日続く・悪化していくようであれば早めに受診してください。

喘息の治療方法

喘息の標準的な治療方法は、気道の慢性炎症をおさえるための吸入ステロイド薬の使用です。くわえて、病状や状態に応じて、気管支を拡張させる気管支拡張薬(β刺激薬や抗コリン薬など)を併用したり、ロイコトリエン受容体拮抗薬などの薬剤の内服を併用したりします。重症化した場合は、入院で治療する必要があります。

新たな治療方法も

2015年以降、「気管支サーモプラスティ/気管支熱形成術」という治療法も始まりました。「気管支サーモプラスティ/気管支熱形成術」は、分厚くなった気道の筋肉を高周波で熱して筋肉の量を減らす治療法です。

喘息の治療はどのくらいで効果が現れる?

吸入ステロイド薬は、使い始めて4日程すると発作が減り始めます。その後は経過を見ながら薬の量を調整します。

治療によって喘息は完治する?継続治療の重要性

喘息は、症状がほとんど出ない時期と症状が悪化する時期を繰り返すのが特徴です。完治することはないと言われており、症状がない状態を維持することが治療の目標となります。途中で治療を中断してしまうと、風邪などをきっかけに再発したり悪化したりするリスクが高くなるため、「症状が治まった」と思っても継続的に治療を行うことが大切です。

喘息の発作時の対処法と予防方法

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喘息の発作が出た場合は、以下の対処方法を試してみましょう。また、急な発作を防ぐための予防方法についてもご紹介します。

喘息発作時の対処法

まずは冷静に

咳の発作が出ているとき、焦ってパニックになると症状が悪化しやすくなります。まずは心を落ち着けて、できれば深呼吸をしてできるだけ冷静になるよう意識しましょう。

吸入器を使用する

喘息の発作時に使われる、短時間作用型の吸入器を使用します。あらかじめ医師に使用方法や注意点を確認し、用法を守って使用するように注意しましょう。

姿勢を変える

背中を丸めると、呼吸が苦しくなり、症状が悪化しやすくなります。発作が出た際は背中を丸めず、姿勢を正して座ったり立ったりしてみてください。しばらく続けると、呼吸が楽になることがあります。

救急外来を受診する

「息苦しさがあり、咳が止まらない」など、症状がきつい場合は救急での処置が必要です。その際は救急車を呼ぶなどして速やかに病院に行きましょう。

喘息の発作を防ぐための予防方法

トリガーとなる要因を回避する

喘息が出るトリガーを特定し、可能な限りそれらを避けることが大事です。一般的なトリガーとしては喫煙・アレルギー物質・空気中の汚染物質・冷たい空気などがありますが、人によって異なるので、医師の診察のもとでトリガーを特定しましょう

例えば、喘息の原因がアレルギー(ホコリ・花粉・ペットの毛など)の場合、これらのアレルゲンに近づかないようにすることが重要になります。アレルギー検査を受けてアレルギーを引き起こす物質を特定し、それらを避けたり、薬物療法で予防改善したりします。また、部屋や寝具・衣類を常に清潔に保つなど、自分のいる環境を整えることも大事です。

適切な治療を受ける

喘息のコントロールには、やはり継続的な治療が不可欠です。症状が治まっても治療を続けることで、発作の頻度や悪化のリスクを減らすことができるようになります。

健康的な生活習慣を心がける

健康的な生活習慣を維持することも喘息の予防に役立ちます。「バランスの取れた食事・十分な睡眠・規則的な生活習慣」などで健康を維持しましょう。適度な運動も健康維持のために大切ですが、激しい運動は喘息のトリガーにもなりえます。運動を取り入れる場合は、自分の身体と相談しながら、無理のない範囲で実践するようにしましょう。

まとめ

喘息のような症状に心当たりがある方は、できるだけ早めに病院を受診し、検査や適切な治療を検討してみてください。また、喘息の治療の目標は「完治」ではなく、発作や咳などの症状がない状態を維持すること。そのためには治療を継続することが非常に重要です。症状が軽くなったからといって治療を中断せず、根気よく続けていきましょう。

内科・呼吸器内科医 荒牧竜太郎 

※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。

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