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認知症の発生や進行を抑えるにはどうすればいい?予防方法と食事の注意点を解説

2023年の現在、65歳以上の高齢者人口が増加し、5人に1人が認知症にかかる可能性があると言われています。認知症に対しての恐れや不安を抱いている方もいるかもしれませんが、早いうちから予防を始めることで、認知症の発症を抑えたり、症状を穏やかにしたりすることができます。そこで今回は、認知症予防に効果的な方法や食事のポイント・注意点について管理栄養士 望月理恵子先生に教えていただきました。

望月 理恵子

【監修】管理栄養士

健康検定協会理事長、管理栄養士、山野美容芸術短期大学講師、服部栄養専門学校特別講師、小田原銀座クリニック栄養顧問、日本臨床栄養協会評議員、サプリメント・ビタミンアドバイザーなど、栄養・美容学の分野で活躍。多くの方が健康情報を学ぶための健康検定協会を主宰するとともに、テレビ・雑誌などで根拠ある栄養学を提供・監修をしている。「栄養学の◯と×」、「やせる時間に食べてみた!」など著書も多数。

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5人に1人がかかる可能性あり!認知症予防の重要性

認知症の女性

認知症は他人事ではない

厚生労働省の調査では、2025年には65歳以上の認知症患者は約700万人に上るとされています。これは、高齢者の約5人に1人が認知症にかかる可能性があるということです。また、近年では、65歳未満でも認知症を発症する若年性認知症や、認知症の一歩手前の段階をあらわすMCI(軽度認知障害)などのリスクも報告されています。「認知症=高齢者の病気」という認識が根付いているものの、40代・50代のまだ若い世代も他人事ではないといえるでしょう。

認知症になるとどうなる?

認知症になると、日常生活全般にさまざまな支障をきたします。思わぬ事故や怪我の心配のほか、認知機能の低下により活動量も減るので、足腰が弱ったり引き篭もりがちになったりすることも。うつ病や他の病気を招く恐れもあります。このような状況を防ぐためにも、早いうちから認知症予防に努めることが大切です。

参照:厚生労働省「認知症の人の将来推計について」

認知症予防のために。生活面で気をつけるべきことは?

認知症の予防方法

生活習慣病の予防・治療を

認知症の中でも血管性認知症やアルツハイマー型認知症は、糖尿病や脳血管障害といった生活習慣病と関わりが深いとされています。このことから、生活習慣病を予防・治療することが、認知症予防にもつながると言えます。生活習慣病の予防・治療のためには、適切な食事や運動・ストレス管理・禁煙などの健康的な生活習慣を身につけることが重要です。

運動習慣をつける

適度な運動習慣は、認知症予防につながることがわかっています。運動によって脳が刺激を受けると、記憶力や注意力などの認知機能の向上が期待できるからです。特に有酸素運動は脳の神経結合を増やし、認知能力の向上につながるとされています。

また、運動は脳の血流を改善し、脳に酸素や栄養を十分に供給します。適度な運動によって脳の神経細胞が刺激され、脳の機能が改善されるとも考えられています。さらに、運動は脳の組織を保護し、損傷を予防する働きがあるとも言われています。運動によって抗酸化作用が促進され、脳の細胞を酸化ストレスから守る効果が期待されます。

このほか、運動習慣によって足腰を丈夫に保ち、自分の力で歩ける・自分で日常生活の動作ができる状態にしておくことも大事です。運動習慣がない方は、週3回以上、30分以上の運動を意識して行ってみてください。例えば、ウォーキング・ジョギング・水泳・サイクリング・ヨガなど、軽度から中程度の有酸素運動からはじめるのがおすすめです。

他者とのコミュニケーションを活発に

他者とのコミュニケーションは、認知症予防に非常に大切です。会話や交流を通じて脳は新しい情報を処理し、学習・記憶・問題解決などの認知機能が維持されます。また、他人との交流や会話は、人生に楽しさや豊かさをもたらし、気持ちも前向きにしてくれるものです。社会的な結びつきを強く持つことで、孤立感や孤独感が軽減され、心の健康のサポートにもつながるでしょう。日頃から家族や友人・近隣の人との交流や活動に参加し続けることが大事です。

睡眠を見直す

睡眠時間をしっかり確保したり、眠りが深くなるように睡眠の質を改善したりすることも重要です。認知症の中でもアルツハイマー型認知症は、脳に「アミロイドβ」というタンパク質が蓄積され、脳の神経細胞が破壊されることで発症するとされています。

このアミロイドβはノンレム睡眠のときに脳内から排出されるという性質を持ちます。つまり、睡眠不足やノンレム睡眠の時間が確保できないと、アミロイドβが徐々に脳に蓄積されていき、アルツハイマー型認知症が発症しやすくなるのです。睡眠の質が悪い場合は、正常者に比べ最大5.6倍もアミロイドβ沈着の危険性が高いという研究結果も出ています。

知的な活動習慣をつける

認知症予防のためには、いくつになっても興味や好奇心を失わず、積極的に物事に取り組むことが大事。その一環として、以下のような知的な活動習慣をつけるのがおすすめです。知的な活動は脳の健康を維持し、認知機能を刺激するのに役立ちます。

読書

読書は脳の活性化に非常に効果的です。本を読むことで新しい知識を得るだけでなく、推理力や理解力を養うことができます。

文章を書く(日記を書くなど)

文章を書く際には、表現力や創造性を使います。創造的な活動は脳を活性化し、認知機能の向上につながるとされています。特におすすめなのは日記です。日々の出来事や感情を文章にまとめることで、記憶力が刺激され、脳が情報を整理・処理する機会が増えます。

ゲームをする

パズルやクロスワード・脳トレなどのゲームは、記憶力や問題解決能力を刺激し、脳を活性化します。

楽器を演奏する

楽器の演奏は「楽譜を見ながら指を動かす」といったように、複数の作業を同時に行います。こういった並列活動は認知機能の維持・向上に効果的とされています。また、楽器の演奏のような活動は、脳の創造性も刺激してくれます。

博物館や美術館にいく 

美術館や博物館では、さまざまな芸術作品や展示物に触れることができます。これらの視覚的な刺激は脳の活性化につながり、認知機能の向上に役立つと考えられています。

新しいことにチャレンジする 

新しい物事への挑戦は、脳の健康をサポートし、認知症予防に貢献すると考えられています。例えば、日常生活の中で新しい趣味を始めたり、旅行やイベントに参加したりするのがよいでしょう。新しい体験を繰り返すことで脳の神経結合が増え、脳の活性化が促進されます。

認知症予防に効果的な食べ物は?

認知症に良い食べ物

食事で気をつけるべきことは?

認知症予防のためには、多様な栄養素を摂取することが大切です。特におすすめなのは和食です。主食・主菜・副菜・汁物など、品数がたくさんあり、さまざまな栄養素を摂ることができます。海藻類・きのこ類・発酵食品(味噌や納豆など)など、ヘルシーで栄養価の高い食材も多く含まれています。

また、食事は朝昼中心、夜少なめが良いでしょう。夜は血糖値が朝よりも上がりやすいので、夜にボリュームの多い食事をしていると生活習慣病のリスクが高まり、結果として認知症リスクも上がってしまいます

また、食事の際には五感(視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚)を刺激しながら食べることも重要。「綺麗な色合いの料理だな」「美味しそうな匂いだな」「ふわふわの食感だな」などと感じながら食べることで、脳にとって刺激となります。

積極的に取りたい栄養素・食べ物は?

上述した食事のポイントの他、認知症予防に効果的な栄養素や食べ物としては以下があります。

オメガ3脂肪酸(EPAやDHAなど)を含む食品

脳への血流を良くし、記憶力などに影響するEPAやDHAなどのオメガ3脂肪酸を積極的に取り入れましょう。青魚・えごま・亜麻仁などに含まれています。

抗酸化作用の高い食品

細胞の酸化を抑える抗酸化作用を持つ食材も意識的に取り入れてください。緑黄色野菜(ピーマン・にんじん・トマト・かぼちゃ等)や果物(ぶどう・さくらんぼ・いちご等)がおすすめです。

まとめ

認知症を予防するためには、早いうちから生活習慣や食生活を見直すことが非常に重要です。今回ご紹介したように、「運動習慣をつける・人との交流を積極的にする・新しいことにチャレンジする・栄養バランスが整った食事をしっかりとる」など、健康的かつ文化的な生活を送ることが、自ずと認知症の予防につながっていきます。ぜひ今日から日常生活の中に意識的に取り入れてみてください。

管理栄養士 望月 理恵子

※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。

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