人間ドックは何歳からやるべき?人間ドックの検査内容や種類と費用の目安
病気・症状と予防
2023年11月22日掲載
年齢を重ねるにつれて、がんや生活習慣病など重大疾患への不安から、人間ドックへの関心を持っている方は多いのではないでしょうか。ですが、いざ人間ドックを受けようかなと考えたとき、「どんなプランのものを受ければいいのか」「いつ受ければいいのか」など、悩む方もいるかと思います。
そこで今回は、そんな人間ドックの内容や健康診断との違い、費用相場、何歳から受けるべきなのか、どのくらいの頻度で受けるべきかなどについて、医師の岡村信良さんに教えていただきました。
岡村信良
【監修】小田原博信会 理事長 久野銀座クリニック院長 医学博士
平成18年北里大学大学院卒、平塚共済病院内科医長を経て小田原銀座クリニックに平成20年に入職、その後院長に就任。
人間ドックとは?健康診断との違いも
人間ドックとは
人間ドックは、健康診断の一環として実施される総合的な健康チェックです。健康状態を把握し、早期の病気や異常を発見するのに役立ちます。
健康診断と人間ドックの違いは?
健康診断
健康診断では、基本的な健康情報(身長、体重、血圧など)と基本的な血液検査などが行われることが一般的です。健康状態を確認し、生活習慣のアドバイスや基本的な健康情報を提供することが目的です。予防医療の一環として行われることが多くなっています。
人間ドック
対して人間ドックでは、健康診断に比べて詳細な検査が含まれます。健康診断以上に早期の疾患や異常の発見を目指し、血液検査や尿検査・超音波・心電図・レントゲンなど、より幅広い範囲の検査が行われ、身体の内部の状態をより詳細に評価します。特にがんや重篤な疾患の早期発見に焦点を当てており、詳細な検査を通じて疾患のリスク評価を行います。
人間ドックはどこで受けられる?
人間ドックは、大学病院や一般病院のほか、人間ドックを専門に行う医療センターで受けられます。
人間ドックの検査内容と種類
人間ドックの検査内容は施設やプランによって異なります。一般的には、以下のような検査項目が含まれます。
人間ドックの基本的な内容
- 身体計測:身長、体重、BMIの測定
- 血圧測定:血圧の測定と評価
- 血液検査: 血液中の異常や炎症を検出するための検査
- 尿検査: 腎臓や尿路の健康を評価するための検査
- 心電図: 心臓の異常を検出するための電気信号の記録
- 超音波検査: 内臓の異常や腫瘍を検出するための超音波検査
- レントゲン: 骨や内臓の異常を確認するためのX線検査
このほか、特定の健康問題に焦点を当てた追加検査もあります。
人間ドックの追加検査・オプション
がんスクリーニング
特定のがん(例: 乳がん、大腸がん、肺がん)の早期発見のためのスクリーニング検査です。例えば、乳房超音波、大腸内視鏡検査、CTスキャンなどがあります。
心臓血管検査
心臓や血管の健康を評価するための検査です。心臓超音波、冠動脈CT、動脈硬化検査などが含まれることがあります。
骨密度測定
骨粗しょう症のリスクを評価するために骨密度測定が行われます。DEXAスキャン(二重エネルギーX線吸収法)が一般的です。
糖尿病スクリーニング
糖尿病のリスクを評価するための血糖値測定やHbA1c測定などが含まれます。
内視鏡検査
胃内視鏡検査や大腸内視鏡検査など、消化器系の健康評価を行うための検査です。
免疫学的検査
特定の感染症(例: HIV、肝炎)のスクリーニングや免疫状態の検査です。
ホルモン検査
特定のホルモンのレベルを評価し、内分泌系の健康を評価するための検査です。
遺伝子検査
遺伝的な健康リスクを評価するための遺伝子検査です。
脳ドック
脳の健康を評価するためのMRIスキャンや脳波検査です。
このようにさまざまなオプションがあるので、自身の健康状態と目的に合わせて適切なプランを選ぶことが大切です。
人間ドックの費用目安
人間ドックは「自由診療」扱いとなるため、健康保険適用外です。費用のおおよその相場は、選んだメニューやコース、受診した地域によりますが、日帰りなら3万円~7万円程度、1泊2日コースでは4万円~10万円前後になります。費用には、検査項目や医師の診察・検査結果の説明なども含まれるのが一般的です。
なお、費用はあくまで平均的な相場です。人間ドックは自由診療のため、検査内容や検査機器によって大幅に費用が異なる場合があります。実際に人間ドックを受ける場合は、事前に医療機関に確認するようにしましょう。
また、加入している健康保険組合の費用補助を利用して人間ドックを受診できることもあります。対応する病院が限られていたり「○○歳以上から」などの条件があったりしますが、受診を検討している方は費用補助の有無を事前に確認してみてください。
40代以降は年1回が目安!人間ドックを受けるタイミングは?
人間ドックを受けるべき頻度は、年齢や個人の生活習慣などで変わります。そのため、「○○歳は必ず年に1回」といった明確な基準はありません。ただ、年齢を重ねるにつれて生活習慣病やがんのリスクは高まるため、加齢に応じて定期的に人間ドックで精密検査をすべきといえるでしょう。以下、年代別の人間ドックを受けるべきタイミングや頻度のおおよその目安を解説します。
20~30代の場合
20~30代は、人間ドックのような精密検査よりも、健康診断などの基本的な健康チェックを行うことが重要です。基本的には年に1度の健康診断でも問題ないでしょう。ただし、生活習慣や遺伝的な要因によって、生活習慣病やがんのリスクを感じている場合は、自身の判断で受診を検討しても良いでしょう。特に、喫煙者や肥満症、親族にがんが多いといった場合は、積極的に人間ドックの受診を検討してみてください。
40~50代の場合
一般的に、40~50代になると、生活習慣病やがんのリスクが高まるとされています。健康診断だけでは、病気を発見できない可能性があるため、人間ドックの受診を検討しましょう。特に、喫煙者や肥満症、親族にがんが多い方は、年に1度はなるべく受診するようにしましょう。定期的な検査によって、早期発見と完治のチャンスを増やすことができます。
60代以上の場合
60代を超えると、生活習慣病やがんのリスクがさらに高まります。加齢による体の変化や潜在的な疾患リスクが高まる年代なので、年に1回は人間ドックを受診するようにしましょう。健康状態に問題がないと感じていても、何かしらの病気にかかっている可能性があるため、早期発見と治療のために定期的に受診することが大切です。
なお、人間ドックを受けるタイミングや頻度と同様に、どのような検査を行うかも重要です。基本の診断にどのようなオプションを追加するかは、年代・生活習慣・既往歴・遺伝的な要素などによって大きく異なるため、人間ドックを担当する医師のアドバイスを受けて決定しましょう。
まとめ
人間ドックは、がんや糖尿病などの生活習慣病をはじめとする重大疾患の早期発見・予防のためのカギと言えます。年齢を重ねるにつれて増大する疾患リスクを回避するためには、40代以降になったら1年に1回の人間ドックが勧められます。また、家族や親族にがんの既往歴がある人がいる場合や、喫煙者や肥満の人も、万が一のリスクを避けるために積極的に人間ドックを受けるようにしましょう。
小田原博信会理事長 久野銀座クリニック院長 医学博士 岡村信良
※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。