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かさぶたを早く治すにはワセリンが良い?乾かさずに治す湿潤療法の効果

転んだり擦りむいたりして傷ができてしまったとき、皆さんはどうやって治していますか?「消毒したり絆創膏を貼ったりしても、かさぶたができてしまって傷がなかなか治らなかった」「傷が痕になってしまった」なんて経験がある方も多いのではないでしょうか。そこで今回ご紹介するのは、傷を早く治し、かさぶたにさせないための「湿潤療法」というやり方です。その方法やメリット・どんな傷に向いているのかなどについて、JUN CLINIC横浜副院長の長谷川佳子先生に教えてもらいました。

長谷川 佳子

【監修】JUN CLINIC横浜

2012年 北里大学医学部卒業。2014年 横浜市立大学病院 形成外科入局 KO CLINICに勤務。藤沢湘南台病院、横浜市立大学附属 市民総合医療センター、横浜栄共済病院 小田原銀座クリニック、ルサンククリニックを経て2024年JUN CLINIC横浜副院長に就任。 院長所属学会は、日本形成外科学会、日本皮膚科学会、日本美容皮膚科学会、日本レーザー治療医学会、日本抗加齢学会、日本乳癌学会、日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会など多岐にわたる。

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そもそも「かさぶた」って?かさぶたを放置するのはNG?

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かさぶたとは?

皮膚に擦り傷や切り傷などの傷ができると、傷口からジュクジュクした滲出液(しんしゅつえき:体液や血液が混じったもの)が出てきます。この液が乾いてカチカチに固まったものが、「かさぶた」です

かさぶたが傷の治りを遅らせる?

かさぶたを「傷が治ってきている証」だと思っていた人は多いかもしれませんが、そうではありません。かさぶたが傷表面を覆っているということは、新しい上皮細胞が生まれて傷を治そうとする働きを阻害しているということなのです。さらに、かさぶたには細菌が繁殖しやすいため、かさぶたの下の傷が膿んでしまうリスクもあります。こういった理由から、かさぶたができないようにすること・できてしまったかさぶたは早く治すことが大事だと言われています。

傷を乾かさない湿潤療法とは?

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湿潤療法とは?

ここまで説明したように、傷を早く・綺麗に治すためには、かさぶたにしないこと、かさぶたができたしまった場合は早く治すことが重要。そこで、近年主流になりつつあるのが、湿潤療法と呼ばれる治療方法です。湿潤療法とは、傷口にうるおいを持たせたまま密閉する治療方法です。具体的には、傷口から出る滲出液(しんしゅつえき)を乾かさないように保護パッドで覆い、その状態をキープします

湿潤療法のメリット・デメリット

では、湿潤療法にはどのようなメリットがあるのでしょうか?またデメリットについてもご紹介します。

【湿潤療法のメリット】

痛みが少なくて済む

かさぶたが傷口周辺の神経を刺激しないため、痛みが少なくなります。また、保護パットではなくガーゼを当てると、滲出液が乾いてガーゼに張り付き、ガーゼを剥がすときに痛みを伴うことがあります。湿潤療法であれば、こういった痛みを軽減することができます。

傷の治りが早い

傷口から出る滲出液には、細胞を増やし成長させる成分がたくさん含まれています。かさぶたを作らないことでこれらの成分の働きが阻害されず、傷口の治りが早くなります。

傷口がキレイにふさがる

傷口周辺のうるおいを保てることから、かさぶたができたときのような引きつりが起こりにくくなります。そのため、傷跡が残りづらくキレイに傷口をふさぐことができます。

【湿潤療法のデメリット】

湿潤療法は全ての傷に対して向いているわけではありません。また、湿潤療法用の保護パッドは通常の絆創膏よりも値段が高く、治療代がかさんでしまう可能性があります。

湿潤療法はどんな傷に向いている?

湿潤療法は、日常生活でできるような傷のほとんどに対応可能です。転んでできた擦り傷や、カッターや刃物などでできた切り傷、靴擦れにも効果的です。また、すでにできてしまったかさぶたを早く治すこともできます。一方で、湿潤療法が向いていない傷としては以下があります。

湿潤療法に向いていない傷は?

  • 虫刺され傷
  • 動物に噛まれた傷
  • 水で洗っても異物が取れない傷
  • 洗ったり抑えたりしても血が止まらない深い傷
  • 感染している傷

湿潤療法のやり方は?すでにかさぶたになっている場合は?

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湿潤療法の基本的なやり方

まずは傷を水でしっかり洗う

傷やその周りに血液や砂・泥などの汚れが残っていると、これらを養分として細菌が繁殖してしまいます。まずは、水と石鹸(赤ちゃん用などの刺激の少ないもの)で傷口周辺の汚れをキレイに取り除いてください。顔のケガなどは、洗顔料を使用しても問題ありません。洗い流したら、清潔なタオルなどで水気を取ります。

消毒液は使わないで!

消毒液は使わない、これが湿潤療法のポイントのひとつです。消毒液には殺菌作用がありますが、同時に正常な細胞までも破壊してしまう恐れがあります。また、傷口から出てくる体液には、組織の修復や再生を促す成分が含まれています。消毒液を使うと、これらまで取り除いてしまうことになるのです

傷が乾かないように保護パッドなどで覆う

傷口を洗って水気を拭いたら、湿潤療法用の傷用保護パットや被覆剤で傷口を覆いましょう。滲出液が出てきますが、パッドで覆っているので乾いてかさぶたになることはありません。保護パッドは傷口よりも一回り大きめのサイズを選ぶのがおすすめです。そうすることで、傷口をしっかり覆うことができ、滲出液が漏れだすのを防ぐことができます。

保護パッドは貼りっぱなしにする

保護パッドは、化膿・かぶれなどトラブルがなければ3〜5日ほど貼りっぱなしにしましょう。貼って剥がしてを繰り返すと、せっかく上皮化してきたものを剥ぎ取ることになってしまいます。特に異常がなければ、剥がれるまで数日は交換の必要はありません。交換する場合は、パッドを剥がした後に毎回傷口を水で綺麗に洗ってから貼り直してください。

なお、かゆみやかぶれが出やすい方は、粘着剤が肌に合っていない可能性があります。粘着剤を使っていないタイプ(自着性ポリウレタンフォームなど)を選ぶか、購入前に薬剤師や医師に相談することをおすすめします。

保護パッドは傷口が乾くまで続ける

傷の大きさによりますが、ちょっとした切り傷の場合はおおよそ3~5日ほどで傷がふさがるはずです。3~5日ほど経過した時点でパッドを剥がし、傷口がふさがり滲出液が止まって乾燥していればパッドの使用を終了しましょう。

すでにかさぶたができている場合は?ワセリンを上から塗るのは有効?

かさぶたができてから湿潤療法を行うこともできます。医療機関では適切にかさぶたを剥がしたり、処置をしたりしてから湿潤療法を行うこともあります。自宅では、かさぶたの上からワセリンを塗り、清潔なガーゼで傷口を覆うのも良いでしょう。ワセリンを塗る際は、傷口を擦りすぎないように注意してください。ワセリンでかさぶたがふやけて剥がれたら、湿潤療法用の傷用保護パットや被覆剤に変更しましょう。

湿潤療法を行う際の注意点

湿潤療法を自分でおこない5日以上経ってもまだ傷がふさがる様子がなかったり、化膿して傷口がジュクジュクしていたりする場合は、傷口が深すぎるか感染している可能性があります。傷口を縫い合わせたり消毒したり、何かしらの外科処置が必要な可能性が高いため、病院で診察を受けるようにしてください。

まとめ

擦り傷や切り傷ができたら「消毒をして絆創膏を貼っておく」「傷を乾かして、かさぶたにさせる」といった治療方法が一般的でした。しかし、最近では今回ご紹介した湿潤療法が効果的なことがわかってきています。湿潤療法には、痛みが少ない・治りが早い・キレイに治るなど、多くのメリットがあります。すでにかさぶたができていても、ワセリンなどで湿潤療法に変えることができるので、かさぶたが治らない、傷口を早く治したいという方はぜひ試してみてください。

JUN CLINIC横浜 長谷川 佳子

※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。

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