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トシのせいだと諦めていませんか?夜間頻尿

年齢を重ねてくると、体のあちこちで老化のサインを感じることが多くなるものです。その一つにあげられるのが、何度もおしっこに行く「頻尿」。特に夜間に眠っているとき、トイレのために何度も起きてしまうことはありませんか?
日本の夜間頻尿の患者数は40歳以上で約4500万人といわれており、40歳代では約4割の人が夜間に1度、60歳代では約2割、80歳代では約5割が夜間に3回以上トイレに行くというデータがあります。年齢とともに夜間頻尿で悩む人も多くなりますが、原因は加齢以外にも、生活習慣や病気など複数あります。

夜間頻尿とは

夜間頻尿とは、夜間にトイレのために1回以上起きなければならない症状で、そのことによって困っている、日常生活に支障があるという状態です。トイレのために夜間1~2回起きても、本人が困っていなければ治療の対象にはなりませんが、一般的には2回以上起きる場合は治療を希望するケースが多いとされています。
夜間にトイレへ何度も行くと、睡眠が阻害されて慢性的な睡眠不足になり、日中の活動の低下につながりますし、トイレへ行くために暗い部屋を歩いて転倒し、ケガや骨折すれば、年齢によってはそのまま寝たきりになってしまうことも。夜間頻尿が、他の病気の引き金になる場合もあります。

年をとるほど、夜間頻尿になるのはなぜ?

一般的に、人間の体は夜間にトイレへ行かなくてもいいようになっています。
これは睡眠時に、脳から“排尿を妨げるホルモン”が昼間の約2倍も多く分泌されて、尿量が昼間の60%程度に抑えられているから。さらに夜間は膀胱に対する副交感神経の緊張が緩むことで、膀胱に尿をためる力が約1.5倍に増加するため、夜間にトイレに行かなくてすみます。
しかし年をとると、“排尿を妨げるホルモン”の分泌量が減少し、尿量を抑えることができにくくなるほか、加齢による心臓や腎臓の機能の低下によって、夜間の尿量が増加します。そのため、年をとると夜間頻尿になりやすくなるのです。
さらに、女性は閉経によって女性ホルモンの分泌量が低下すると膀胱が小さくなるため、トイレに行く回数が自然と増えてしまいます。

病気が原因の場合も

夜間頻尿は、尿が多すぎる、膀胱に尿をためられないという理由で起こりますが、これらの原因としては、加齢のほかに、単に寝る前に水分を摂りすぎているから、ということもあります。また、さまざまな病気がひそんでいる場合もあり、注意が必要です。

・尿が多すぎる…夜間・早朝高血圧など
夜間・早朝高血圧とは、高血圧症の一つで、夜間や早朝に血圧が上がってしまうタイプのこと。脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まるとされている病気です。
腎臓には血圧を調節する働きがあり、夜間に血圧を上げる物質を分泌して塩分と水分を排出しようとします。塩分を大量に排出しなければならない場合、この腎臓の働きによって夜間から早朝に血圧が上昇、尿量も増えるため、頻尿にもなってしまいます。

・膀胱に尿をためられなくなる…過活動膀胱など
過活動膀胱とは、トイレが近かったり、急にどうしてもトイレに行きたくなったりする病気。骨盤底筋群が弱まったり、男性の場合は前立腺肥大症などが原因で、膀胱に尿をためにくくなってしまいます。

・おしっこが気になる…うつ病や睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害
何らかの原因で夜眠れなくなり、目が覚めてしまうと、本当はトイレに行く必要がないのに、気になって行ってしまいます。目が覚めるたびに気になるので、頻尿になってしまいます。

まずは排尿日誌で自分の状態を知ろう

夜間頻尿の原因が、単に水分の摂りすぎなのか病気なのか分からない場合は、まずは自宅で排尿日誌をつけてみましょう。日誌といっても、毎日つける必要はなく、休日に24時間の記録を2~3日分で構いません。この記録から、おおよその原因を知ることができます。

【方法】

排尿のたびに、目盛りを記入した紙コップや100円ショップで購入した計量カップなどに尿をとって、量と時刻を記録します。記録は、起床してから翌朝起床するまでの24時間を記録するようにします。

【通常の回数と量】

  • 1日の排尿回数…7回以下
  • 1日の尿量…1200~1500ml
  • 1回の排尿量…200~400ml

1日の尿量が上記より大幅に超えているようなら、尿が多すぎることが原因となり、1回の排尿量が上記よりかなり少ないようなら、膀胱に尿をためられなくなっている、と考えられます。
この記録は病院へ行く際にも有効な情報となりますので、悩んでいる人は病院へ行く前に一度記録してみるといいでしょう。

今すぐできる夜間頻尿対策

適切な飲水量を知り、寝る前の水分を控える

尿が多いために夜間頻尿になっている人の場合、単純に飲水量が多いということも少なくありません。適切な飲水量を知って、水分を摂り過ぎないように、特に眠る前の水分を控えるようにしましょう。適切な飲水量は24時間の尿量が20~25ml×体重(Kg)です。
例)体重50Kgの人なら、20~25ml×50(Kg)=1000~1250ml
ただし心筋梗塞などのリスクが高い場合は、寝る前の水分は医師の指示に従うようにしましょう。

夕方以降はカフェインの摂取を控える

コーヒーやお茶などに含まれるカフェインには利尿作用があります。そのため、特に夕方以降はカフェインの摂取を控えるようにしましょう。

寝る前のアルコールを控える

アルコールを飲むと、“尿を出すことを妨げるホルモン”の分泌が抑制され、尿量が多くなります。寝る前にはアルコールを控えるようにしましょう。

足のむくみを防ぐ(足をマッサージする、夕食後しばらく足をあげておく)

昼間摂取した水分は、重力の関係で足にたまると、むくみとなって現れます。そのまま夜、横になると、その水分が上半身に戻って、余分な水分を尿として排出しようとし、夜間頻尿につながります。
ですから、できるだけ足のむくみを防ぐよう、昼間のうちからこまめに足を動かすなどの工夫をしてみましょう。また、足がむくんでしまった場合、尿が膀胱にたまるまでは3~4時間かかりますから、就寝4時間前までにむくみを解消するといいでしょう。マッサージなどのほか、クッションなどで調節してヒザの位置を心臓より少し上に置くようにして20~30分ほど横になるだけでも構いません。

監修

旭泌尿器クリニック 山口旭先生

平成8年自治医科大学卒業。上北山村国民健康保険診療所や奈良県立奈良病院泌尿器科などを経て、平成26年12月旭泌尿器クリニックを開業。

旭泌尿器クリニック
大阪市天王寺区筆ヶ崎町5番52号 ウェルライフ上本町クリニックプラザ109
TEL:06-6770-0505  公式サイト:http://www.akira-uro-clinic.com/

※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。

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