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鼻うがいのやり方。 塩水などの準備と効果的な方法
病気・症状と予防
2016年02月18日掲載
のどをガラガラさせるうがいではなく、鼻をスッキリさせる「鼻うがい」をご存知ですか?
鼻の中を、まさにうがいのように洗い流す方法で、鼻をかんでも出にくい粘り気のある鼻水や、これから少しずつ増えてくる花粉やハウスダストなどのアレルギー物質を取りのぞく効果があるといわれています。
鼻に水を流すというと、“ツーン”とした痛みを感じてしまいそうですが、いくつかのコツを知れば痛みなく安全に行うことができます。鼻の調子がイマイチよくないとき、風邪・花粉症対策に、鼻うがいを試してみませんか?
鼻うがいは風邪や花粉症になぜ効果的?
鼻の中を直接洗い流す「鼻うがい」。鼻をかんでも出にくいガンコな鼻水をスッキリさせることができるため、鼻の調子が今ひとつ良くないときは、一度は試してみたい方法です。
さらに鼻うがいは風邪や花粉症の予防にもなり、健康維持のためにもおすすめです。風邪の予防といえば、外から帰って、“のどをガラガラとうがい”することが一般的ですが、実はこの方法では風邪予防には十分とはいえません。というのも、風邪のウイルスや花粉が付着しやすいのは、鼻の奥の上咽頭といわれる部分で、のどのうがいでは上咽頭を洗い流すことができないからです。一方、鼻うがいでは上咽頭までしっかりと洗い流すことができますから、より効果的な風邪予防や花粉症対策になるといえます。
鼻うがいの効果
鼻の不快感の解消
鼻をかんでも出にくい粘り気のある鼻水もスッキリさせることができます。
風邪やインフルエンザなどのウイルス対策
風邪やインフルエンザの原因になるウイルスは、のどの奥の上咽頭に付着し、炎症を起こします。鼻うがいなら、上咽頭を洗い流すことができるため、ウイルス対策になります。
花粉症やホコリなどのアレルギー対策
上咽頭に付着した花粉やホコリなどを洗い流すことで、アレルギーの原因を取り除くことができます。
ちくのう症の予防・症状の緩和
ちくのう症(副鼻腔炎)とは、目と目の間やほほなどにある副鼻腔という空洞にうみがたまる病気。風邪や花粉などが原因で炎症が起き、粘り気のある鼻水や鼻づまり、頭痛といった症状が起きます。鼻うがいでは副鼻腔を直接洗い流すことはできませんが、鼻の中の粘り気のある鼻水を洗い流すことができますから、ちくのう症の予防や症状の緩和に役立つと考えられます。
鼻うがいで準備するもの
市販の鼻うがい用の商品を使えば気軽に始められますが、自宅にあるものを使って鼻うがいを行うこともできます。やり方がいくつかありますので、自分のやりやすい方法で試してみましょう。
鼻に真水が入るとツーンとしますが、これは体液と水の浸透圧が違うために起こります。そのため鼻うがいでは、体液と同じ浸透圧である、0.9%の食塩水を使って行います。人間の体温と同じか少し温かい36~38℃程にしたぬるま湯がいいでしょう。
【準備するもの】
・一度沸騰させた、ぬるま湯
・塩
・洗面器やコップ
・タオル など
【0.9%食塩水の作り方】
①水をいったん沸騰させて、人肌くらいのぬるま湯まで冷まします。
②1リットルのぬるま湯に対し、9gの食塩を入れて溶かします。(500ccなら4.5g、2リットルなら18g)
この食塩水は使いまわすのではなく、鼻うがいをするたびに作るようにしてください。
鼻うがいの方法
最初のうちはお風呂で行うといいでしょう。
濡れることを気にせずにできますし、体も温まって鼻水も出やすくなっています。
【食塩水を流し込む方法】
①ドレッシングボトルのような、鼻の穴に差しこめるサイズの容器ノズルのついたプラスチックボトルに500ccの0.9%食塩水を入れます。
②前かがみの状態でやや顔を横に傾けて、容器を押しながら食塩水を鼻に流し込みます。このとき「えー」と声を出すと流し込みやすいです。ただし顔が大きく上向きにならないように注意してください。
③流し込んだ食塩水を、鼻から出します。どちらの鼻からでも構いません。慣れてきたら口から出してみましょう。
【洗面器の食塩水を吸い込む方法】
①洗面器に2リットルの0.9%食塩水を入れます。
②片方の鼻の穴を指で押さえながら、洗面器の食塩水に顔を近づけて、もう片方の鼻の穴から食塩水を吸い込みます。このとき食塩水を飲み込まないようにします。
③洗面器から顔をはずして、吸った鼻の穴から食塩水を出します。慣れてきたら、もう片方の鼻の穴や口から食塩水を出してみましょう。
【ストローで食塩水を吸い込む】
①コップなどに500ccの0.9%食塩水を入れて、ストローをさします。
②片方の鼻の穴を指で押さえながら、もう片方の鼻の穴からストローで食塩水を吸い込みます。このとき食塩水を飲み込まないようにします。
③ストローから鼻をはずして、吸った鼻の穴から食塩水を出します。慣れてきたら、もう片方の鼻の穴や口から食塩水を出します。
鼻うがいを効果的にするための注意
鼻に食塩水を入れるときは、大きく上を向かない
鼻に食塩水を入れた後、やや上を向くと口に流れやすくなりますが、大きく上を向くと食塩水が耳に入り中耳炎になる恐れがあります。前かがみの状態で、顔はあまり上に向けないようにしましょう。
鼻で水を吸い込んでいるときに、つばを飲み込まない
水を吸い込んでいるときに、つばや洗浄液を飲み込もうとすると、耳に洗浄液が入る恐れがあります。
鼻を洗い終わった後に、鼻を強くかまない
鼻を洗い終わったら、前かがみのまま頭を左右に傾けるなどして、食塩水をすべて出すようにします。その後軽く鼻をかむのはかまいませんが、強くかむと中耳炎の原因になります。
やりすぎは注意!1日1~2回程度に
1回の鼻うがいでは2~3度繰り返し、ヌルヌルした感じがなくなるまで行います。鼻うがいに慣れてくるとスッキリして気持ちがいいのですが、1日1~2回程度にしましょう。(1回は200ml程度で十分です)
鼻づまりがひどいとき、のどに痛みがあるとき、鼻水がのどに流れてしまうときはしない
鼻に炎症があって鼻づまりがひどいときや、のどに炎症があるときは鼻うがいは行わないようにしましょう。また鼻水がのどに流れる後鼻漏のときも、食塩水が残りやすくなりますから、行わないようにしてください。
子どもは専用の器具を購入するか、耳鼻科でしてもらう
鼻うがいを間違った方法で行うと、中耳炎など別の病気を招く恐れがあります。子どもは上記の方法では行わないほうがよいでしょう。どうしても鼻うがいを行いたいときは、子どもでもできる市販の器具を購入するか、耳鼻科で鼻洗浄を行いましょう。
監修
とおやま耳鼻咽喉科 院長 遠山祐司先生
日本耳鼻咽喉科学会専門医。日本気管食道科学会専門医。日本耳鼻咽喉科学会認定騒音性難聴担当医。大阪府医師会指定学校医。日医生涯教育認定。都島区医師会会長。
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