知って得するヘルスケア情報
早期流行・重症化の可能性も! 最新「インフルエンザ」事情
病気・症状と予防
2015年12月17日掲載
2022年10月28日更新
毎年12月~3月頃に流行するおなじみの「インフルエンザ」。
2020年からの2年間は国内でのインフルエンザの流行がなく、免疫を獲得していない人が増えているため、2022~2023シーズンはインフルエンザの早期流行やCOVID-19との同時流行も懸念されています。海外から日本への渡航制限が解除されたこともあり、インフルエンザが3シーズンぶりに流行した場合は、重症者などが増える可能性があります。
インフルエンザウイルス
インフルエンザは、「インフルエンザウイルス」に感染することによって起こる病気です。
そして、そのウイルスにはA型・B型・C型の大きく3種類に分類されますが、C型については他の型ほどはっきりとした症状や流行がないため、問題視されることもなく、ワクチンも対象外となっています。「季節性インフルエンザ」の原因となるのは、A(H1N1)亜型、A(H3N2)亜型(香港型)、2系統のB型の4種類となります。
最新!「予防接種」情報
あらためて、予防接種の効果や接種時期をおさらいしておきましょう。
予防接種の効果
ワクチンでは「感染」を完全に抑えることはできませんが、発熱やのどの痛み等の「発症」を抑える効果がある程度認められています。そしてワクチンの最も大きな効果は、「重症化」を防ぐことです。基礎疾患のある方や高齢者など重症化しやすい方は、特に接種しておくことをおすすめします。
また、ワクチンの効果は接種後2週間~5カ月と言われており、毎年流行するウイルスも異なることから、シーズン毎の接種が有効です。
接種時期「2022シーズンは早期流行の可能性も。予防接種はなるべく早めに!」
ワクチンの接種から効果が出るまでは約2週間。インフルエンザは、例年12月~3月頃に流行し、ピークが1~3月頃なので、できれば11月中、遅くとも12月中旬までには予防接種を受けるのがおすすめです。2022シーズンは、インフルエンザの早期流行やCOVID-19との同時流行も懸念されているので、なるべく早めの接種をおすすめします。
回数・費用「子どもは2回接種が必要!新型コロナワクチンとの同時接種も可」
生後6ヶ月以上13歳未満は2回接種が必要です。原則、全額自己負担で、その費用は医療機関により異なります。また、予防接種法に基づく定期接種の対象者(例:65歳以上の方など)には、市町村によって公費負担される場合もあります。医師が特に必要と認める場合は(基礎疾患「慢性疾患」があり、著しく免疫が抑制されている状態にある方など)1~4 週の間隔で2回接種します。
なお、5歳以上については新型コロナワクチンとの同時接種が可能な他、インフルエンザワクチンに関しては、新型コロナワクチンとの接種間隔の制限は設けられていません。同時接種による健康被害などのリスクは報告されていませんが、気になる方は医師に相談しながら接種期間を検討してみてください。
(※)一部のワクチンは適応となる対象年齢が1歳以上となっています。
(※)新型コロナワクチンとインフルエンザ以外のワクチンの接種は 14 日以上の間隔制限が設けられています。
普段からできる感染予防のポイント!「3つの密」回避も有効
うがいや手洗い、加湿など予防法の効果を上げるポイントをご紹介します。
【手洗いのポイント】
- 手を洗うタイミングが大事!
帰宅時、くしゃみや咳を手で押さえた後、調理や食事の前など。 - 固形石鹸ではなく、液体石鹸を。
- ウイルスに感染した人は「自分専用のタオル」を使いましょう。
- 手洗い場も清潔にしておくことが大事です。
【うがいのポイント】
- 行うのは手洗いと同じタイミングに加え、乾燥しているときも有効。
- うがいの前に手を洗いましょう。
- 喉の奥までガラガラと「15秒以上」がポイント。
【加湿のポイント】
低温・低湿を好むインフルエンザウイルスを活性化させないためには、加湿が重要なポイントに。お部屋の湿度は50~60%が適切と言われています。60%以上になると、ダニやカビの繁殖にもつながりますので、加湿し過ぎも注意!
【便利マスク情報】
- ①潤うマスク
- マスクに専用保水液をかけて、のどへの潤い効果をアップするものや、水分を含んだフィルターによってスチーム効果を促すものなど、加湿系のマスクも多く発売されています。
- ②メイクが落ちにくいマスク
- 三次元の立体構造と、内側の特殊なプロテクトコートなどによって、メイクが落ちにくいマスク。ファンデーションや口紅がマスクに付きにくく、メイク崩れが心配な通勤中や外食ランチでも気にせず使用できます。
- ③メガネが曇りにくいマスク
- クッションやワイヤーを入れるなどで隙間を少なくし、メガネを曇りにくくしたマスク。メガネや顔の形で曇りにくさには個人差があるため、いくつか試してみるのがよいでしょう。
なお、手洗いや手指衛生、マスク着用や咳エチケットの他、「密閉空間・密集場所・密接場面」という「3つの密」の回避といったCOVID-19対策はインフルエンザ予防にも有効です。
発症してしまったら
外出厳禁!会社や学校を休む期間は?
学校保健安全法では「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては、3日)を経過するまで」がインフルエンザによる出席停止期間です。会社などもこれを参考にしながら医師に相談しましょう。病状により、感染のおそれがないと認められれば、もっと早く外出できることもあります。
周囲にうつさない!「咳エチケット」
咳やくしゃみが出るときは、マスクを着用。ない場合は、ティッシュなどで口と鼻を押さえ、他の人から顔をそむけて2m以上離れ距離エチケットも徹底しましょう。鼻汁や痰などを含んだティッシュは、すぐにゴミ箱へ。
最新!「抗インフルエンザ薬」情報
2022年現在、A型とB型、どちらのインフルエンザウイルスにも対応する「抗インフルエンザ薬」には以下のような種類があります。
- 粉:タミフル(投与接種制限 ※体重が37.5kg未満)
- カプセル:タミフル(投与接種制限 ※体重が37.5kg以上)
- 錠剤:ゾフルーザ(投与接種制限 ※10kg以上)
- 吸入:リレンザ(投与接種制限 ※5歳以上)・イナビル(接種制限 ※年齢制限なし)
- 点滴:ラピアクタ(投与接種制限 ※年齢制限なし)
(※)タミフルはジェネリック(厚生労働省の認可を得て製造販売される、新薬と同じ有効成分を含む医薬品)があります。新薬よりも低価格で服薬できるので、気になる方はかかりつけ医に相談してみるとよいでしょう。
年齢制限がない薬でも小児や乳幼児に関しては推奨しないものもあります。また、投与回数や期間は、予防的に投与する場合と罹患した後に投与する場合で異なります。どの「抗インフルエンザ薬」を投与するかは、状況に合わせて医師と相談のうえで決定しましょう。
なお、ラピアクタは感染後に投与して症状を抑える薬です。予防としては使用できないと覚えておきましょう。
監修
小田原博信会 理事長 久野銀座クリニック院長 医学博士 岡村信良
平成18年北里大学大学院卒、平塚共済病院内科医長を経て小田原銀座クリニックに平成20年に入職、その後院長に就任。
(2022年10月時点の監修者情報です)
かも内科消化器科クリニック 院長 加茂 和敏先生
2013年9月、かも内科消化器科クリニック開院。
TEL:0595-66-1190
(2015年12月時点の監修者情報です)
※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。