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脇汗の原因は自律神経の乱れ?汗を止める対策と予防方法

暑い季節になると脇汗に悩む方は多いのではないでしょうか。衣類にシミができたりニオイが気になったりと、非常に厄介な脇汗ですが、過剰に脇汗が出てしまうのは自律神経の乱れに原因があるのかもしれません。そこで今回は、男性専門の総合美容クリニック『ゴリラクリニック』の稲見文彦総院長に、自律神経の乱れによって脇汗が出るしくみや原因、予防対策について教えていただきました。

稲見文彦

男性専門の総合美容クリニック『ゴリラクリニック』 総院長

東邦大学医学部を卒業後、同大形成外科学教室に入局。美容外科医を志し某大手美容形成外科に入職。10年以上に亘り数多くの手術を行い、また多数の医師や看護師の育成に携わる。同院京都分院長を経て、2015年に「男性美容のシンボル」をミッションとして掲げる男性専門の総合美容クリニック『ゴリラクリニック』総院長に就任、現在に至る。所属学会:日本形成外科学会、日本美容外科学会(JSAPS、JSAS)、日本美容皮膚科学会。

男性専門の総合美容クリニック『ゴリラクリニック』 総院長 稲見文彦

脇汗が過剰に出る原因のひとつは、自律神経の乱れ

脇汗が過剰に出る原因のひとつは、自律神経の乱れ

自律神経が乱れると脇汗が発生する理由

脇汗が過剰に出てしまう原因は、発汗を司る交感神経が興奮しやすいことにあるのではと考えられています。汗を作り出すエクリン汗腺は、交感神経の支配を受けています。何らかの理由によって自律神経のバランスが乱れ、交感神経が過剰に興奮している状態になると、その結果として脇汗が増えるのです。

そもそも自律神経とは?どんな役割がある?

ヒトの神経系は中枢神経と末梢神経からできています。中枢神経は大雑把に言えば大脳や脊髄などのことを指し、末梢神経は皆さんがイメージする、いわゆる「神経」です。

さて、末梢神経はさらに体性神経と自律神経に分かれます。体を動かすときなどに働くのが体性神経で、内臓などの働きに関わるのが自律神経です。例えば「さあ、血圧を下げよう」「これからどんどん消化しよう」と思って内臓を動かす人はいませんね。どちらも自動的に調節されています。このように自動的(自律的)に働くのが自律神経の特徴です。

自律神経は、さらに交感神経と副交感神経の2つに分けられます。それぞれ「闘争の神経」「逃走の神経」と言われ、前者は体の活動性を上げる際に、後者は活動性を下げリラックスする際に活性化されます。この2つがバランスを取りながら体をコントロールしているのです。

自律神経はなぜ乱れる?

交感神経と副交感神経によって成り立つ自律神経ですが、時としてそのバランスが乱れることがあります。その理由として代表的なのは、精神的ストレス・疲労・光や音の強すぎる刺激・寝不足や偏った食事をはじめとする生活習慣の乱れなど。これらの理由により自律神経の緊張が増し、さまざまな症状として現れます。過剰な脇汗もその症状のひとつと考えられます。

過剰な脇汗は、自律神経以外に原因があることも

過剰な脇汗は、自律神経以外に原因があることも

自律神経の乱れ以外にも、過剰な脇汗を招く原因があります。

遺伝も関係している

脇汗をかきやすい人は家族にも同じ体質の人が多く認められることから、遺伝が関係しているとも報告されています。

緊張やストレスが原因のことも

脇に過剰に汗をかく直接的な原因としては、強い緊張やストレスが挙げられます。緊張すると下着やシャツに汗シミができ、滴るほどの発汗を生じるという方は、腋窩(えきか)多汗症の可能性が考えられます。

甲状腺機能亢進症などの疾患が原因であるケースも

多汗症の一部には「続発性局所多汗症」と呼ばれるものがあります。この場合、甲状腺機能亢進症などの疾患が背後にある可能性も考えなくてはなりません。脇はもちろん足の裏や手の平など全身の多汗症が気になる場合は、医療機関で診察を受けるのがベターです。

過剰な脇汗を抑えるための対処方法

過剰な脇汗を抑えるための対処方法

自律神経の乱れによる脇汗は、交感神経の興奮を抑えることが大切

過剰な脇汗にお悩みであれば、まずは交感神経が興奮状態になりすぎている恐れを踏まえ、交感神経の活動を沈静化し、副交感神経の活性化を促す必要があります。

交感神経は精神的ストレスがかかると活性化します。ですからまずはストレスを解消することが優先されます。十分な睡眠を取ったり、過剰なカフェイン摂取や飲酒を避けたりすることが重要です。また、ストレスを感じるときはひとりで抱え込まずに、友人や家族などに相談することをおすすめします。

適度に汗をかくことも過剰な脇汗の予防になる

適度な運動を心掛け、汗を流すことも逆に過剰な脇汗を防ぐ方法と言えます。近頃は、在宅ワークで運動不足気味になっている方や、1日中クーラーのきいた部屋にいて汗をかくことがほとんどない方も多いかもしれません。ウォーキングなどの軽い運動を習慣化して、適度な汗をかけるようにすると良いでしょう。

脇汗を抑えるには、塩化アルミニウム外用薬が有効

脇汗を抑えるのにもっとも手軽な方法として塩化アルミニウム(パースピレックス®)の外用が挙げられます。この製品を使用すると、汗管が閉塞され脇汗を防ぐことができます。市販製品でも塩化アルミニウムの制汗剤が販売されていますので、まずは使ってみると良いでしょう。

過剰な脇汗、医療機関での治療とは

過剰な脇汗、医療機関での治療とは

医療機関での治療を受ける目安

過剰な脇汗や多汗症が疑われる場合の医療機関を受診する目安としては、「HDSS(Hyperhidrosis disease severity scale)」という自覚症状に基づく重症度分類が参考になるでしょう。HDSSは脇汗や多汗症の症状を4段階に分けたものです。

HDSS(Hyperhidrosis disease severity scale)

1 ほとんど気にならない  2 我慢できる  3 なんとか耐えられる  4 我慢できない 

このうち3番4番に当てはまる人を重症としています。このような方々は医療機関での相談をおすすめします。

医療機関での治療内容

脇の多汗症は正式には「局所多汗症」と呼ばれていますが、多くは「原発性局所多汗症」と言って原因不明であることがほとんどです。そのため、汗対策としては対症療法が中心となります。

クリニックによって提供している治療はさまざまですが、一般的にはボツリヌス菌毒素を皮内注射する方法、反転剪(せん)除法やローラークランプ法などの手術、ミラドライ®やビューホット®などの機械による治療が広く行われています。最近はダウンタイムの少なさ、長期間にわたって効果が持続することを希望してミラドライ®を受ける方が増えており、当院でもその傾向は同様です。

このほか、前述した塩化アルミニウム(パースピレックス®)の外用薬を処方することもあります。また最近では、ソフピロニウム臭化物ゲル(エルロックゲル®)が多汗症治療薬として保険適応になりました。

まとめ

汗をかく季節になると気になる脇汗。自律神経の乱れが原因であるケースも多いので、ストレスがたまりやすい方や生活習慣が乱れやすい方は特に注意が必要です。あわせて、過剰な脇汗に悩んでいるのであれば一度皮膚科を受診して相談してみることをおすすめします。最近では治療法の選択肢も増えているので、ひとりひとりの症状にあった適切な治療が期待できるでしょう。

男性専門の総合美容クリニック『ゴリラクリニック』 総院長 稲見文彦

※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。

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