暮らし あと押し eo

eo健康

爪にでこぼこや線が......医師が考える原因と対処法

健康的な爪は、全体的に薄いピンク色で表面もなめらかです。しかし、爪がでこぼこしたり、縦方向や横方向に線が入ったりすることに悩んでいる方は多いのではないでしょうか。「もしかしたら何かの病気なのかも?」と不安に感じている方もいるかもしれません。今回は、爪がでこぼこしたり縦方向や横方向の線が入ったりする原因、考えられる病気、対処方法などについて解説します。

長谷川佳子

LECINQ clinic院長

2012年 北里大学医学部卒業。2014年 横浜市立大学病院 形成外科入局 KO CLINICに勤務。藤沢湘南台病院、横浜市立大学附属 市民総合医療センター、横浜栄共済病院 小田原銀座クリニック勤務を経て、2020年ルサンククリニック診療部長就任。2021年 ルサンククリニック院長就任。所属学会は、日本形成外科学会、日本皮膚科学会、日本美容皮膚科学会、日本レーザー治療医学会、日本抗加齢学会、日本乳癌学会、日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会など多岐にわたる。

LECINQ clinic院長 長谷川佳子

爪がでこぼこする原因は?どんな状態になる?

爪がでこぼこする原因は?どんな状態になる?

爪のでこぼこは、指の乾燥によって生じることもある

爪のでこぼこは、乾燥によって生じることがあります。爪は爪の下の皮膚から水分が補給されることによって潤いを保っています。しかし指先が乾燥していると爪への水分補給量が減少し、爪も乾燥してしまいます。すると爪がもろくなり、割れたり表面がでこぼこしたりといった変化が生じることがあるのです。

日常生活の癖が爪のでこぼこを起こすことも

爪の根元部分が圧迫によるダメージを受けていると、でこぼこな状態の爪が生えてくることがあります。特に足の場合、靴による圧迫で爪がでこぼこになることがあります。また、食器用洗剤などの化学薬品による刺激が爪をもろくし、表面のでこぼこを生じさせることも

爪のでこぼこの背景に病気があることも

指先の乾燥だけでなく、病気が原因で爪がでこぼこになることもあります。

・外傷

爪の根元に外傷があると、爪の成長が妨げられ、でこぼこになることがあります。

・爪下出血

ドアに爪の部分を挟む、爪にものが落ちるなど、爪に外的衝撃があったときに、爪の内部が出血し、爪の色が赤や紫色に見えることを爪下出血といいます。爪と皮膚の間が損傷していると、爪の変形が起こることがあります。

・グロムス腫瘍

爪の下にできる良性の腫瘍です。この腫瘍により、爪の変形が起こることがあります。

・爪白癬(つめはくせん)

爪白癬とは、白癬菌という真菌(カビの一種)に感染することで起きる症状。わかりやすく言えば、爪に生じる水虫です。爪白癬になると、爪が白く濁ったり爪が分厚くなったりします。症状が進行すると、爪がボロボロになったり分厚くなったり、でこぼこになることがあります。

・乾癬(かんせん)

乾癬とは、カサカサした赤い湿疹が起きる症状です。皮膚での発症が多いですが、爪の表面に生じることもあります。爪が乾癬にかかると、爪の表面が点状にでこぼこになります。また、爪が白く濁ったりもろくなったりすることもあります。

・貧血

貧血症状のひとつとして、爪がでこぼこになることもあります。

爪に縦線や横線が入る原因は?どんな状態になる?

爪に縦線や横線が入る原因は?どんな状態になる?

爪に縦線が入る原因

爪に縦方向の線が入るのは、一般によく見られる症状です。老化現象のひとつであり、50代前後から目立ちやすくなります。さほど心配する必要はありませんが、悪化すると爪がもろくなったり縦に割れやすくなったりするので、早めに症状を改善した方がよいでしょう。

また、縦線でも色の黒い線には注意が必要です。皮膚がんの一種メラノーマの可能性が考えられるので、黒い線が出ている場合は早めに皮膚科を受診してください。

爪に横線が入る原因

爪の横線は、指をはさんだりぶつけたりといった衝撃や爪を噛むなどの日常的な癖によって生じます。また、精神的なストレスや睡眠不足が慢性化していると、爪の横線が出やすくなります。

ただし、特定の指だけでなくすべての指に横線が1本生じている場合は注意が必要。こういったケースでは、感染症や糖尿病・発熱性疾患・亜鉛欠乏症といった病気が原因になっている恐れがあります。

爪のでこぼこや線の対処方法。医療機関に相談する基準は?

爪のでこぼこや線の対処方法。医療機関に相談する基準は?

乾燥や生活習慣・癖によって生じる爪のでこぼこ・縦線・横線といったトラブルは、日頃のホームケアで予防することができます。ただし、原因が病気にある場合は皮膚科など医療機関での治療が必要です。

爪のでこぼこや線を防ぐには、まずは丈夫な爪を育てることが大事!

丈夫な爪を育てるポイントとしては以下の5つが挙げられます。

・指先・爪の乾燥を防ぐ

指先が乾燥すると、爪がでこぼこしやすくなります。指先の乾燥を感じたら、保湿クリームや爪用のオイルなどを使って保湿しましょう。また、爪を乾燥させやすくなるので、除光液の使用は控えめに。

・洗剤などの化学薬品による刺激を防ぐ

水仕事をするとただでさえ指先が乾燥しやすくなります。加えて、洗剤に含まれている化学物質の刺激が爪をもろくし、でこぼこの原因になっていることもあります。皿洗いなどの水仕事をするときは、ゴム手袋をつける・作業後に保湿クリームをしっかり塗るなどの対策を。

・爪の切り方に注意

爪を切るとき、爪には強い力がかかりダメージを受けやすくなります。爪を切るタイミングはお風呂上がりの爪がやわらかくなっているときがベスト。また、爪がもろくなっている場合は、爪切りではなくやすりを使うことをいおすすめします。

・タンパク質やビタミン類をしっかりとる

爪のでこぼこ・線を予防改善するには、まずは丈夫で健康的な爪を育てることが大事です。すでに生えている爪の質を改善にすることはできませんが、これから生えてくる爪を丈夫にすることは可能です。そのためには、栄養バランスのとれた食生活が重要です。爪のもととなるタンパク質・ビタミン類をしっかり摂取しましょう。

・生活習慣を見直す

爪のトラブル、特に爪の横線は、ストレスや睡眠不足が原因であることも。ストレスの原因をとりのぞく・十分な睡眠をとるといった基本的な生活習慣の見直しを。

医療機関に相談する基準は?

乾燥や日常生活の癖・習慣によって生じる爪のでこぼこや縦線・横線は、上記のようなホームケアで防ぐことが可能です。しかし、なかなか症状が改善されない場合は皮膚科を受診すると良いでしょう。また、以下のような症状が見られる場合は、皮膚疾患や全身疾患が関係していることがありますので、皮膚科に受診することをおすすめします。

【医療機関への相談を検討すべき症状】
・爪のでこぼこだけでなく、白く濁っていたり爪が分厚くなったりしている
・黒い縦線が出ている
・すべての指の爪に横線が出ている

まとめ

爪のでこぼこや縦線・横線は、指先の乾燥や生活習慣の乱れ・外からの衝撃や刺激によって起こりやすい症状です。生活や癖・食事の見直し・ホームケア等で、健康的な爪を育てるように意識しましょう。ただし、爪のトラブルの背景に皮膚疾患や全身疾患が隠れていることもあります。症状がなかなか改善しない・気になる症状がある方は、早めに皮膚科を受診することをおすすめします。

LECINQ clinic院長 長谷川佳子

※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。

おすすめ記事一覧