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飲み会の上手な断り方は?「断る」をプラスのコミュニケーションにする方法

飲み会の誘いを断ったけど、申し訳なさや気まずさを感じる……そんな経験はありませんか?

それは、心のどこかで「断る=拒絶と捉えられてしまうのでは……」と思うからではないでしょうか。しかしコミュニケーション講師の大野先生曰く、「断り上手になれば、断ることをプラスのコミュニケーションに転換できる」とのこと。

今回は、大野先生に飲み会の上手な断り方や“断る”をコミュニケーションとして活用する方法などを詳しくお伺いしました。

大野 萌子

一般社団法人 日本メンタルアップ支援機構 代表理事

法政大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ資格認定機関)代表理事、産業カウンセラー、2級キャリアコンサルティング技能士。企業内健康管理室カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメントなどの分野を得意とする。現在は防衛省、文部科学省などの官公庁をはじめ、大手企業、大学、医療機関などで年間120件以上の講演・研修を行い、机上の空論ではない「生きたメンタルヘルス対策」を提供している。著書に『「かまってちゃん」社員の上手なかまい方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)がある。

 https://japan-mental-up.biz/

「断る」もコミュニケーションのひとつ!相互理解を深めるきっかけに

●“断る”も、コミュニケーションのひとつと考えて

断ることはコミュニケーションのひとつでもあります。“断る”場面は、こちらの意思を相手に伝える機会。「この人はこんなことが苦手なんだな」「この人は人間関係に対してこんな考えを持っているんだな」などと、互いの考え方や価値観を知り、相互理解を深めるきっかけにもなりえるのです。まずは「断る=悪いこと」という意識を変えてみましょう。

●“断り上手”は、交渉力の強化につながる

“断る”という行為は、「相手との交渉」であり、「互いの要望のすり合わせ」、そして「譲歩」でもあります例えばあなたが「タバコのニオイで具合が悪くなってしまうので、飲み会は参加したくないんです」と言った場合、「じゃあ禁煙席のあるお店なら良い?」「はい、それならぜひ参加したいです」といった会話が生じるでしょう。このような交渉が上手にできるようになると、ビジネスの場などあらゆる場面で役立つはずです。

●断る=拒絶ではない!重要なのは“断り方”

覚えておいてほしいのは、「断る=拒絶」ではないということ。人にはそれぞれ生活や仕事があり、いつも相手の都合に合わせられるわけではありません。むしろ「ストレスが増大する・相手を嫌いになる」など、我慢して付き合い続けるデメリットの方が多いはず。断ることを躊躇(ちゅうちょ)してしまう方は「交渉」の機会と捉えて、自分の意見を相手に伝えてみましょう

飲み会の上手な断り方、ポイント

断り上手になれば、“断る”をプラスに転換できます。では、どのように断るべきなのかポイントをご紹介します。

●まずは誘ってくれたお礼と意向に添えないことへの謝罪を。代案を提示するのも大切

お誘いを断る際に意識してほしいのは、「誘ってくれたお礼・意向に添えないことへの謝罪・代案の提示」の3つ。以下、その方法を解説します。

【まずは誘ってくれたお礼を伝える】

たとえ行きたくない飲み会であっても、「お誘いありがとうございます」と感謝を伝えるようにしましょう。ただ単に「参加できません」「行けません」と言われるよりも、相手の“拒否された感”はグッと下がるはずです。


【意向に添えない旨を謝罪する】

あわせて、「参加できなくてすみません」「申し訳ありませんが、参加できません」など、相手の意向に添えないことへの謝罪の旨も伝えましょう。

【明確な理由があって行けない場合は、代案の提示を】

例えば「夜の時間帯は難しいのですが昼間ならぜひ誘ってください」など、参加可能な条件を伝えることで互いの要望をすり合わせられます。理由だけを伝えられるよりも、拒絶された感覚が和らぎ、相互理解が深まるのもメリットです。

また、「タバコのニオイで具合が悪くなるから飲み会には参加しないようにしています」など、明確な理由がある場合ははっきり伝えましょう。「禁煙席があるお店なら参加したいです」と、より前向きな代案も出せるようになります。

●断る理由を無理に添える必要はない

意外かもしれませんが、「断る理由」は無理に添えなくてもかまいません。というのも理由を伝えることで相手を傷つけてしまう恐れがあるからです。

例えば「その日は友人と会おうと思っているので」と言った場合、「自分よりもその人を優先するんだ」と捉えられてしまうこともあるでしょう。理由を添えることで自分の後ろめたさは和らぎますが、相手は寂しさや嫉妬を感じてしまうかもしれません。

また、嘘の理由であれば、なおのこと何も言わない方が良いでしょうバレたときに信用を失うなど、後々自分の首を締めるケースもあります。代案を提示するのがベストですが、理由を詳細に伝えなくても「すみません参加できません」だけでもかまわないのです。

断りの意思が伝わらない可能性も。NGな断り方

●曖昧な言い回し・返事の先延ばしは避けて

断るという行為は少なからずストレスを感じるものです。そのため、「行けたら行くね」「考えておきます」「スケジュールがわかり次第、お返事します」など、つい曖昧な返事や先延ばしの返事をしてしまう人もいるでしょう。しかし、これは良くありません。自分の良いように物事を解釈する人もいるため「この人は参加する意志がある」と捉えられる可能性があります。強い言葉で断る必要はありませんが、明確に伝えましょう。

●感情表現をカットして結論ファーストで

お誘いを受けたときに「えーどうしよう」「うーん……」などと返答を迷っているような感情表現を表に出してしまうと、もう少しプッシュすれば来てくれるかなという期待を持たせたり、反対に参加したくないという気持ちを邪推され、悪い印象を与えてしまいかねません。感情表現はできるだけカットして、結論ファーストで伝えましょう。

なお、はっきりと断る場合でも、お礼と謝罪は忘れないようにしましょう。「お誘いありがとうございます。申し訳ありませんが参加できません。」と簡潔に。

飲み会をポジティブに捉える考え方。参加するか否かの線引きにも有効

飲み会のポジティブな面を見直すことで、参加する飲み会と参加しない飲み会の線引きにも役立つかもしれません。飲み会は、仕事をする上でのコミュニケーション不足の解消に役立ち、結果的にストレスマネジメントに繋がる部分があります。

●「雑談ができる関係性=気軽に相談できる関係性」を作るきっかけに

他愛もない話や雑談ができない相手に相談を持ちかけるのは難しいものですとはいえ業務の中で日常会話をするタイミングは十分ではありません。その点、飲み会は仕事以外の話もしやすいので、雑談ができる関係性を作る良いきっかけになります。


●相手をより深く知るきっかけに。理解が深まれば人間関係のストレス軽減に

人は“分からないこと”に対して強い不安や緊張感を覚える生き物です。相手が何を考えているのか分からないと、必要以上にストレスを感じてしまいます。相手への理解が深まれば、「この人はこういう人だからこう言っているんだな」などと理解できる場面が多くなり、不要なストレスを感じにくくなります。また、よく相手を知らずに「この人にこんなことを言ってもしかたないだろうな」と決めつけて誰にも相談できずに苦しむ……といったことも起きにくくなるはずです。

気軽に相談できる関係を作る・不要なストレスを解消するといったポジティブな効果を得るには、じっくり相手と会話ができる環境が必要です。そういう意味では、2~4名程度の少人数がベスト。少人数なら参加するが大人数は断るなど、自分の中に基準を設けても良いかもしれません。

断り上手になれば、より良い人間関係が築ける

断ることに抵抗感や苦手意識があり、しかたなく飲み会に参加し疲弊している人は多いかもしれません。今回ご紹介したように、断ることそれ自体は拒絶でも拒否でもありません。上手な断り方を覚えておくと、ご自身にとってより快適な人間関係を築いていけるのではないでしょうか。

監修者

一般社団法人 日本メンタルアップ支援機構 代表理事 大野 萌子

公式サイトURL : https://japan-mental-up.biz/

※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。

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