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腰痛の原因は座りすぎ?予防・対処法と接骨院での治療法

腰痛は命に直接関わるような病気ではないことから、つい我慢してやり過ごしている方が多いのではないでしょうか。しかし、柔道整復師の浜口先生は、「悪化しないうちに対策や治療が必要」と語気を強めます。

慢性的な腰痛を放っておくと、神経や脊椎の炎症を招く恐れもあるからです。今回は、腰痛の原因や予防改善のための対処法・整骨院で受けられる治療などについて、浜口先生に詳しく教えていただきました。

浜口 大介

iCureテクノロジー株式会社 代表取締役副社長・柔道整復師・鍼灸師

大学卒業後に警察官となりSATに所属。29歳で柔道整復師・鍼灸師に転職し、業界屈指の整骨院で10年間勤務を経た後に独立。開院3カ月で毎日100人以上が来院する院へと導き、現在は51院を展開中。業界内で講演も多数行っている。

慢性的な腰痛の原因は日頃の“姿勢”にあり

●長時間の同一姿勢が腰痛を招く

腰痛の原因のひとつは、長時間同じ姿勢を取り続けること。長い時間、座る・立つ・寝るのは良くありません。腰回りの筋肉の動きが少なくなるため、筋肉が凝り固まってしまいます。また、同様の理由から、運動不足も腰痛の原因になるといえます。

●特に長時間座り続けることは腰への負担が大きい

座位は腰への負荷が大きく、特に座位で長時間にわたって前傾姿勢をとっていると腰に大きな負担をかけます。なぜなら、直立の状態で立っているときは、足の関節がクッション代わりになって腰への負荷を吸収してくれているからです。また、直立状態だと背骨が本来のS字カーブを保てるため、腰をはじめ上半身への負荷が軽減されます。

それに対して座位の場合、足の関節によるクッションがないため、腰に直接負荷がかかります腰痛持ちの方で「座っている方がラク」と思っている方は多いかもしれませんが、これは実は「足がラク」というだけなのです。さらに、座っているうちに腰が曲がって猫背になると背骨のカーブも崩れるので、上半身に負荷がかかりやすくなります。

慢性的な腰痛を放っておくとどうなる?

●腰痛を放っておくと神経や脊椎に炎症が及ぶことも

慢性的な腰痛の多くは筋肉の炎症によるものですが、放っておくと神経や脊椎・関節などに炎症が及ぶ恐れもあります。その結果、腰部椎間板(ようぶついかんばん)ヘルニアや変形性脊椎症(へんけいせいせきついしょう)、坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)、脊柱菅狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)などの疾患・症状を招くケースも。

●神経などに炎症が起きると生じやすい症状

神経などに炎症が及ぶと、腰の痛みのほかに以下のような症状が出ることがあります。

  • 片側の足がしびれる
  • 片側の足が痛む
  • 足に触れても感覚が鈍い
  • 足に力が入らない

ただし、これらの症状があるからといって必ずしも神経に異常をきたしているとは限りません。例えば足のしびれは、部分的な血流障害でも生じることも。ご自身の状態を詳しく知りたい方は、整形外科の受診をおすすめします。整形外科ではレントゲンやMRIなどで骨や関節・神経などの状態を検査できます。

少しの意識で変わる!腰痛の予防・軽減法

腰痛持ちの方は、腰が痛い状態に慣れてしまい、特に対処をせずに放置してしまいがちです。しかし、腰痛はいわば体からのSOS信号。無視せずに予防改善対策を行いましょう。

●正しい座り方で腰への負荷を軽減

長時間座り続けてパソコン作業やデスクワークをしていると、猫背になってしまいがちです。これでは腰に大きな負荷がかかります。肩こりや首こりなども併発させかねません。まずは座り方を意識しましょう。

【腰への負荷を軽減させる座り方】

椅子に深く腰掛け、軽く背もたれに体重を預けるように座りましょう。おなかを軽くへこませて骨盤を立てるように意識してください。

なお、このような姿勢を維持するのが辛い場合は、クッションやコルセットを補助として利用するのも良いでしょうただし、コルセットは体に合ったものを正しく使用してはじめて効果を発揮します。使用する方は、接骨院などで診てもらうことをおすすめします。

●正しい座り方を維持できるよう、デスク周りの配置にも気を配って

上記の正しい姿勢を保てるよう、パソコンモニター・キーボードの位置を調整しましょう。ノートパソコンを使用している方にありがちなのは、モニターが目線よりも低いために腰が曲がり猫背になってしまうこと。また、キーボードが手元から遠い場合もそのような姿勢になりがちです。

そこで、パソコンのモニターは目線と同じ位置にくるよう、台などを使って高さを調節しましょう。キーボードは手元や膝に近い位置に寄せると、肩が張らず猫背になりにくくなります。ノートパソコンの方は、分離型のキーボードを使うのも手です。

●こまめに筋肉を動かすことも大事!

同じ姿勢で長時間いると、筋肉が収縮できず凝り固まってしまいます。30分に一度は立ち上がったり背伸びをしたりして腰まわりの筋肉を動かしましょう。また、ラジオ体操のように全身を大きく動かす運動もおすすめです。

●立っているときの姿勢も意識して

立ち姿勢が悪いのも腰痛の原因になります。悪い姿勢とは、腰が反っている・腰が曲がっているといった状態です。腰が反らず・曲がらない、ちょうど中間の姿勢を意識しましょう。おなかをへこませ、お尻の穴を締めるとそのような姿勢をつくれます。

●寝姿勢は仰向けがベスト、腰が痛いときは横向きに

前項で述べたように、腰に一番負担がかからない姿勢は直立の状態です。そのため、寝るときも仰向けで寝るのがベストです。ただしこれは腰痛がない場合の話です。腰が痛いときは、横向きで体を丸めるようにすると負荷がかかりにくくなります。横向きが苦手な方は、仰向けの状態で膝の下にクッションを入れ、足を曲げるようにしてください。

なお、うつぶせで寝るのはおすすめできません。うつぶせの体勢は腰が反ってしまうため痛みを引き起こしやすくなります。くわえて首を片方向に向けることになるので、首を傷める恐れもあります。

自分でできる腰痛ケアのポイントと注意点

腰痛の予防改善には、前項でご紹介したように、良い姿勢を心がける・こまめに体を動かす・姿勢を維持するための環境を整えるといった工夫が大事です。あわせてセルフケアも意識的に取り入れましょう。

●腰痛改善で最も重要なのは、傷めている部位への負荷を減らすこと

腰痛改善のポイントは、痛みのある部位への負荷をできるだけ少なくすること。曲げて痛いのであれば曲げない、反らすと痛いのであれば反らさないようにしましょう。痛みがあるときは筋トレや運動は避けてください。

●体を冷やさないようにするのも大事

体が冷えると筋肉が硬直し腰痛は悪化しやすくなります。シャワーではなく湯船に浸かる・体を冷やさない服装を心がけるなどの対策を。

●痛みが強いときは抗炎症成分の入った湿布を

痛みが強いときは抗炎症剤の入った湿布を貼るのもおすすめです。なお、温湿布と冷湿布どちらがいいのか」については、どちらでも効果に違いはありません。温湿布にはカプサイシンなどの温熱成分が、冷湿布にはメントールなどの冷却成分が配合されていますが、いずれも皮膚表面にしか作用せず、筋肉にまでは到達しません。好みの使用感で選びましょう。

接骨院での腰痛治療とは

接骨院での腰痛に対する治療は大きく3つに分けられます。(※)

(※)接骨院と一口に言っても院によって施術内容・設備は異なります。この記事では、あくまでiCure鍼灸接骨院で行われている腰痛治療をご紹介しており、必ずしもすべての院で同じ治療がなされているわけではありません。診断を仰ぐ、CTなどを撮ってもらいたい場合は整形外科へ。関西の方は接骨院に、関東の方は整形外科に治療に行くことが多いそう。

1.筋肉をほぐす

マッサージや低周波治療器・鍼灸などによって凝り固まった筋肉を緩めていきます。ただし、筋肉をほぐすだけでは、一時的に楽になっても根本的な解決にならないケースも多くあります。そういった場合に有効なのが骨盤矯正です。

2.骨盤の歪みを正す

腰痛に悩む人の多くは骨盤に歪みが生じています。骨盤が歪んでいると背骨は正しいS字カーブを保てなくなるため、腰をはじめ肩や首などに必要以上の負荷がかかります。そのため、いくら筋肉をほぐしても、腰痛や肩こりはなかなか治らないのです。

そこで、骨盤の歪みを矯正し本来の正しい姿勢を作れるようにするため、骨盤矯正を行います。状態によっても異なりますが、おおむね週に2回程度の施術を3カ月続けると、効果が期待できます。

3.インナーマッスルを鍛える

骨盤の歪みを整えるとともにインナーマッスルを鍛えるのも重要です。インナーマッスルとは、体の深層にある骨や関節・筋肉・内臓などを支えている筋肉の総称。骨盤と同様に体の土台を成す重要なパーツで、インナーマッスルを鍛えることによって腰をはじめ上半身への負荷が軽減されます。いわば天然のコルセットのような役割をしてくれるといっても良いでしょう。

整骨院では、インナーマッスルを鍛えるために「複合高周波EMS」というマシンを用いています。インナーマッスルを効率良く鍛えられるので、腰痛をはじめとする様々な不調の改善が見込めます。

腰痛は放っておかずに早めの対処を

「腰痛は治らない」と思っている方は多いかもしれません。しかし腰痛は、姿勢改善や運動習慣の見直し・然るべきケアによって予防改善できる症状です。お悩みの方はぜひ一度生活習慣を見直すとともに、整骨院などの利用を検討してみてください。

iCureテクノロジー株式会社 代表取締役副社長・柔道整復師・鍼灸師 浜口 大介 

※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。

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