蕁麻疹の原因は食べ物?ストレス?大人が突然かかることも
病気・症状と予防
2020年02月06日掲載
顔や体にミミズ腫れのような皮膚炎症が現れる、蕁麻疹(じんましん)。蕁麻疹は、アレルギーの一時症状のひとつ。子供でも大人でも、何らかのきっかけで突然発症する可能性があります。そこで今回は、蕁麻疹の症状や原因・治療法・対処法などについて内科医の泉岡利於先生に教えていただきました
泉岡利於
医療法人社団宏久会 泉岡医院 院長
関西医科大学卒業後、済生会野江病院循環器内科、関西医大附属病院心臓血管病センター、門真市阪本蒼生病院内科を経て現職に。現在は大阪内科医会の副会長を務める。
蕁麻疹の症状は、一時的に現れる皮膚炎症と強いかゆみ
蕁麻疹とは、皮膚の一部に膨隆疹(ぼうりゅうしん)と呼ばれるミミズ腫れのような炎症が現れる病気です。症状が出るのは顔や首・手足・腹部・背中などさまざまで、強いかゆみをともないます。慢性的に続くのではなく、一時的に現れてしばらく経つと消えることがほとんどです。
蕁麻疹の原因はアレルギー。ストレスや疲労で悪化することも
●蕁麻疹はアレルギーの一時症状のひとつ
蕁麻疹はアレルギーの一時症状のひとつです。そのため、蕁麻疹の原因は、その人がどんなアレルギーを持っているかによって異なります。
例えば、りんごアレルギーを持っている人がりんご果汁の入った食品を誤って食べたとき、アレルギー症状として蕁麻疹が出ることがあります。同様に、ある特定の抗生物質に対してアレルギーを持っている人が知らずに抗生剤を服用し、蕁麻疹が出るケースも。
●物理的な刺激で蕁麻疹が出ることもある
このほか、衣服によって皮膚がこすれたり圧迫されたり、強い日光を浴びたりといった物理的な刺激によって蕁麻疹が生じることもあります。また、血管が拡がると出やすいため、お酒を飲んだときやお風呂に入ったとき・運動した後は悪化しやすいと言えます。
●ストレスや疲労・体調不良が蕁麻疹の誘因になることもある
ストレスや疲労が溜まっていたり体調が悪かったりすると、体の免疫力は低下気味になります。すると、外部からの刺激に対する抵抗力が弱まるため、アレルギー反応が起きやすく、蕁麻疹が出やすい状態に。つまり、ストレスや疲労・体調不良は、それ自体が蕁麻疹の直接的な原因になるわけではないものの、蕁麻疹が出やすい状態を作り出してしまうのです。
蕁麻疹の治療方法
●まずは問診で蕁麻疹の原因を探していく
蕁麻疹の治療では、まずは原因を突き止めるための問診や検査を行います。
- いつ症状が出たのか
- どこにいるときに症状が出たのか
- 何をしているとき
- 何をした後に症状が出たのか
- どの部位に症状が出たのか
こういった項目をヒアリングし、蕁麻疹が出たきっかけや原因を探していきます。 例えば、食事をした後に全身に蕁麻疹が出たのであれば、その食事に含まれていた食品が原因である可能性が強くなります。首など、衣服が直接肌に触れていた部位にのみ出たのであれば、衣服の繊維が原因ではないかと予測できます。
●血液検査でアレルギーの有無を調べることも可能
このほか、血液検査で特定の食品や薬剤・植物などに対するアレルギーの有無や程度を調べることもできます。ただし、血液検査をしても、結論が出ないケースも多々あります。蕁麻疹はアレルギー体質や物理的な刺激・ストレス・体調不良などさまざまな要因が重なって症状が出るため、原因をひとつに絞るのはとても難しいのです。
●蕁麻疹の治療方法
蕁麻疹の原因が判明している場合は、その原因物質を避けるのが最も有効な対処法です。
蕁麻疹の皮膚症状に対しては、抗アレルギー剤や抗ヒスタミン剤(かゆみを抑える薬)の飲み薬の処方を行います。炎症がひどい場合は、ステロイドの塗り薬を処方することもあります。
なお、ステロイドの塗り薬の使い方については以下の点に留意してください。
- 強い薬のため少量を長期間塗り続けるのはNG。必要な量をしっかり塗って短期間の使用に抑える
- 子供への使用は1週間未満に
- 大人の場合も1カ月以内以上は使わない
- 妊娠中は用法・容量について専門医にアドバイスをもらう
●蕁麻疹かと思いきや、他の病気の可能性も
見た目は蕁麻疹似ているものの、実は蕁麻疹ではないケースも。例えば、肝機能疾患では蕁麻疹と似たような皮膚湿疹が出ることがあります。一般の方が自己判断するのは難しいので、気になる症状がある方は医師の診察を受けてみましょう。
蕁麻疹の予防改善のために自分でできること
●アレルギー物質を避け、基本的な生活習慣の見直しを
前述したように、蕁麻疹はアレルギー反応のひとつとして生じます。また、ストレスが溜まっている・疲れている・寝不足である・体調が悪いなど、免疫力が低下しているときに出やすくなります。
そのため、蕁麻疹の予防・改善のためには、まずはアレルギーの原因物質を避けること。さらに、心身ともに健康でいることが重要です。以下のポイントに留意しましょう。
- 十分な睡眠をとる
- 栄養バランスのとれた食事をする
- ストレスを溜め込まない
●症状を悪化させないために避けるべきこと
蕁麻疹は血管が拡がっているときに出やすい性質があります。症状が見られる時期は以下の行為は避けましょう。
- 湯船に浸かる
- お酒を飲む
- 激しい運動をする
●かゆみがひどいときの対処方法
蕁麻疹のかゆみがひどくても、かくのはやめましょう。炎症がひどくなってしまいます。かゆいときは以下の対処を。
- 抗ヒスタミン剤など、かゆみ止めを塗る
- 患部を冷やす
- 患部をトントンと優しく叩いて紛らわす
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まとめ
アレルギー症状のひとつとして生じる蕁麻疹。疲れているときやストレスが溜まっているときに出やすくなることから、蕁麻疹は体からのSOSと受け取るといいかもしれませんね。蕁麻疹が出たら、病院で検査や治療を受けるとともに、ご自身の生活習慣や食生活を省みるきっかけにしてみましょう。
医療法人社団宏久会 泉岡医院 院長 泉岡利於
※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。