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子供だけでなく、大人も注意。溶連菌感染症の症状や治療法・予防対策

子供の病気でよく耳にする「溶連菌感染症」。飛沫感染や接触感染でうつるので、保育園や幼稚園などでは集団感染するケースも。また、子供だけではなく大人もかかることがあります。今回は、そんな溶連菌感染症の主な症状や治療法・予防法などを内科医の泉岡利於先生に教えていただきました。

泉岡利於

医療法人社団宏久会 泉岡医院 院長

関西医科大学卒業後、済生会野江病院循環器内科、関西医大附属病院心臓血管病センター、門真市阪本蒼生病院内科を経て現職に。現在は大阪内科医会の副会長を務める。

溶連菌感染症の主な症状・感染経路

●発疹が出るとは限らない!溶連菌感染症の主な症状

溶連菌感染症は、溶連菌という細菌によって引き起こされます。感染してから症状が現れるまでの期間は2~5日程度で、以下のような症状が現れます。

【溶連菌感染症の主な症状】
  • 喉の痛み
  • 喉の腫れ
  • 高熱
  • 舌の表面に赤いブツブツ(いちご舌)
  • 手足の発疹
  • 下痢

ただし、これらの症状すべてが現れるわけではなく人によって異なります。例えは、舌のブツブツは「いちご舌」と呼ばれ、溶連菌感染症に特徴的な症状だと思われていますが、いちご舌にならない人もいます。

●溶連菌感染症は飛沫感染・接触感染でうつる

溶連菌感染症は、風疹や麻疹(はしか)・インフルエンザほど感染力は強くありませんが、飛沫感染や接触感染でうつります。そのため、保育園や幼稚園では集団感染が起きることもあります。

【飛沫感染】

感染している子供が咳やくしゃみをして、菌が飛び散る

別の子供が飛び散った菌を吸い込む

感染

【接触感染】

感染している子供が絵本やおもちゃなどに触れ、菌が付着する

別の子供が菌の付着した絵本やおもちゃに触り、手に菌がうつる

その手を口に入れたり食べ物を触ったりすることで菌が口に入る

感染

●溶連菌感染症の発症時期は一年中

一昔前までは、溶連菌感染症は冬から春にかけて流行りやすいと言われていました。しかし、近年では春に限らず一年を通じて感染者が出ています。

溶連菌感染症は子供だけの病気ではない!大人でもかかる!

溶連菌感染症は、小学生未満の小さな子供がかかりやすい病気です。保育園や幼稚園では溶連菌感染症の集団感染が起きることがあります。また、溶連菌感染症は大人でもかかります。お子様が感染しているときご自身にも喉の痛みや高熱が出た場合、感染を疑ったほうがいいでしょう。

なお、溶連菌感染症を引き起こす菌は10種類以上あります。一度感染したからといって二度と発症しないわけではなく、一度かかったことがあっても繰り返し罹患する可能性があります。

溶連菌感染症は抗生物質で治る!病院での治療方法

●溶連菌感染症の疑いがあれば、まずは検査を

溶連菌感染症には専用の検査キットがあり、感染の有無がすぐに分かります。喉の痛みや腫れ・高熱・いちご舌といった異変が見られたら、まずは病院で検査を受けてください。特に、周囲に溶連菌感染症にかかった人がいる場合は、感染を疑った方がいいでしょう。

●溶連菌感染症の治療方法

検査で感染が明らかになった場合、抗生物質のお薬を出します。ペニシリン系またはセフェム系の抗生剤を使うのが一般的です。1週間程度の服用で喉の痛みや腫れは引き、熱も下がります。舌のブツブツや体の発疹も自然に消えていきます。

なお、服用中に症状が治まっても、出されたお薬は最後まで飲みきってください。お薬を途中でやめてしまうと、症状がぶり返したり他の病気に発展したりする恐れがあります。

●溶連菌感染症が他の病気を招くことも

稀ではありますが、溶連菌感染症が腎機能障害を招くことがあります。腎機能障害を見逃さないためには、抗生物質を飲み終わった2週間後に尿検査をして尿タンパクの有無を確認します。尿タンパクが出なければ腎機能に異常はありません。

溶連菌感染症にかかったら。気をつけるべきこと

溶連菌感染症は、抗生物質をきちんと飲めば治る病気です。しかし、菌が体内にあるうちは人にうつしてしまう可能性があります。また、高い熱が出るので体力を奪われてしまうことも。そこで、療養期間中は以下の点に気をつけましょう。

●自宅で療養するときに気をつけるべきこと

・水分をたくさん摂る

脱水にならないよう、こまめに水分を摂りましょう。下痢がひどい場合は、体内の電解質も不足しやすくなるので、電解質を補えるスポーツ飲料を。

・喉への刺激が強いものは食べない

喉が痛いときは辛いものや刺激になるもの、柑橘系の食べ物は避けましょう。喉が痛くて食事が辛いときは、喉ごしの良いゼリーやヨーグルトなどがおすすめです。

・水分も摂れないときは点滴を

喉が痛くて食事がとれない・熱が高くて水も飲めないといった場合、脱水状態に陥る心配が。病院で点滴を受けた方がいいでしょう。

●まわりの人にうつさないために気をつけるべきこと

・マスクをする

溶連菌感染症は飛沫感染でうつります。周囲の人にうつさないよう、マスクをつけましょう。

・感染している子どものタオルや食器は別にする

接触感染でうつらないよう、タオルや食器などの使い回しは避けて。感染している人のタオルや食器は別にして触れないようにしましょう。

●登園・登校はいつからしていい?

溶連菌の感染力は、抗生物質を飲み始めてから24時間以内に失せるとされています。そのため、お薬を飲み始めてから1日経てば登園や登校は可能です。しかし、しっかり熱が下がり体調が戻るまでは自宅で安静にしていたほうがいいでしょう。

溶連菌感染症にかからないために。予防方法

子供だけでなく大人もかかる溶連菌感染症。「保育園や幼稚園で感染者が出た」「お友達や兄弟がかかっている」といったときは、しっかり予防対策をしましょう。

●飛沫感染を防ぐ:外出時はマスクをする

飛沫感染を防ぐには、マスクで口や鼻を防御するのが効果的です。

【予防効果を高めるために。マスクの正しい使い方】
  • 顔との間に隙間ができないもの・ピタッとしているものを選ぶ
  • マスクを外すときは、口に当たる面には触れないようにして耳から外す
  • 使い終わったマスクは速やかに捨てる

●手洗い・うがいの徹底

「手についた菌を除去する」「喉に菌を付着させない」、この2点も大切です。手についた菌は手洗いで落とし、口から侵入した菌はうがいで外に吐き出しましょう。外から帰ったときやおやつを食べる前・食事をする前は、手洗い・うがいの徹底を。

まとめ

溶連菌感染症は、きちんと抗生物質を飲めば治る病気です。「喉が痛くて高熱が出ている」といった症状が現れたら、最寄りの小児科や内科で診察を受けましょう。また、保育園や幼稚園でかかった子供がいる場合は、子供の体調の変化にいつも以上に気を配る・手洗いやマスクなどで予防するなどの対策を。あわせて、大人もかかる可能性があるので、ご自身の体調管理にも気をつけることが大切です。

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医療法人社団宏久会 泉岡医院 院長 泉岡利於

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