【形成外科医監修】ヒゲの医療レーザー脱毛のメリットは?リスクはない?
病気・症状と予防
2019年08月29日掲載
ヒゲ剃りの手間や時間が減ったらどんなに楽だろう……。
そんな願望を可能にするのが、ヒゲの医療レーザー脱毛です。複数回の施術で永久的(※1)にヒゲが確実に減ります。女性に比べ、まだまだ男性のヒゲ脱毛は認知が低い状況。施術内容や効果はもちろん、デメリットも気になる方が多いのかもしれません。そこで今回は、ヒゲの医療レーザー脱毛の施術方法や効果・気になるリスクなどについて、形成外科医の塚原孝浩先生にお話を聞きました。
(※1)医療機関での処置の場合
塚原孝浩
つかはらクリニック 院長
福井医科大学(現、福井大学医学部)卒業後、近畿大学医学部附属病院 形成外科教室入局。その後、医療法人啓仁会咲花病院にて形成外科医長、医療法人二十一会 ソノクリニック三宮院にて院長を務める。2004年に『医療法人愛誠会つかはらクリニック』を開業。美容外科・形成外科・皮膚科・プチ整形・メディカルエステなど幅広い分野の診療を行っている。
INDEX
男性のヒゲの医療脱毛とは
●ヒゲの医療脱毛とは
ヒゲの医療脱毛は、レーザーを照射して毛根やその周りの組織を破壊し、永久的に毛を生えなくさせる施術です。あごやあご下・鼻下・頬など、あらゆる部位のヒゲを脱毛できます。
なお、レーザー機器を使用した脱毛は医療行為にあたるため、医療レーザー脱毛が受けられるのは病院やクリニックなどの医療機関のみです。なお、基本的にヒゲ脱毛は健康保険の適用外となります。
●施術回数
医療脱毛では永久的にヒゲを生えなくさせられますが、一回の施術で完了というわけではありません。ひとつの目安として、施術範囲全体を5回程度脱毛し、その後気になるところを部分的に施術していきます。施術と施術の間隔は最低でも6~8週間必要なので、1年ほどかけて脱毛を完了させるイメージです。ただし、もともとのヒゲの量や密度・太さ、どのくらい減らしたいのかなどによって必要な施術回数・期間は異なります。
●ヒゲ脱毛の効果
脱毛回数を重ねることでヒゲの量は減り、目立たなくなっていきます。一度生えなくなった毛穴からは、基本的に再び毛が生えてくることはありません。ただし、男性のヒゲは太く密度が高いため、完全になくすのを目標にするのではなく、量を減らす・薄くするのを目指したほうがいいでしょう。それだけでも、ヒゲ剃りの時間や手間・肌への負担は大きく減ります。
病院でヒゲの医療脱毛を受ける3つのメリット
1. 永久的な脱毛効果が得られる
医療機関でのみ使用が許可されている医療レーザー機器は、出力が高いため脱毛効果が永久的に続きます。一度脱毛した部位から再び毛が生えてくることはまれです。なお、エステサロンや脱毛サロンで使用されている脱毛機器では、一時的に毛を減らすことはできても永久的な効果は期待できないこともあります。
2. 衛生面で安心できる
最も多くの医療機関で採用されている脱毛器では、肌に触れるのはディスタンスゲージという距離を測る部分のみです。レーザー機器のハンドピースそのものは直接肌に触れないので、感染症などの心配がありません。(クリニックによっては、接触式のものもあります。)
3. 万一の皮膚トラブルにも対応できる
万一ヤケドなどの皮膚トラブルが発生しても、病院なら適切な対処ができます。ひとりひとりの肌質や毛の状態にあった施術・ケアが受けられるのも、病院で受けるメリットだと言えるでしょう。
また、より安全に安心してレーザー脱毛を受けられるよう、クリニックでは施術前に「おためし」での照射も可能です。(※2)
試験照射で問題がなければ本照射という流れになるので、肌が弱い方や痛みに不安がある方でも安心して施術を受けられます。
(※2)施術を受けるクリニックによっては、試験照射は受けられないこともあります。
ヒゲのレーザー脱毛はこんな人におすすめ
●ヒゲ剃りの手間から解放されたい人
毎朝のヒゲ剃りの手間が省けるのは、想像している以上に快適なものです。全脱毛せずとも、全体的に毛を薄くする・気になる部位を脱毛するだけでも、ヒゲのお手入れはかなり楽になります。
●ヒゲ剃りによる肌荒れが気になる人
毎日のヒゲ剃りは時間や手間がかかるだけでなく、肌にも大きな負担を与えます。肌の乾燥や赤み・ニキビの原因がヒゲ剃りであることもめずらしくはありません。ヒゲ脱毛によってヒゲ剃りの回数・頻度が減れば、肌荒れ予防・改善にも役立つと言えます。
●肌の印象を若々しく、清潔に見せたい人
レーザー脱毛をして毛がなくなると、毛穴が引き締まって目立たなくなる効果も。肌を若々しく見せたい方・清潔感をアップさせたい方にもおすすめです。
頑固な毛には、ニードル脱毛の選択肢も
病院で受けられるヒゲ脱毛は、レーザーを使う方法のほかに「ニードル脱毛」があります。これは、毛穴に細いニードルを刺して電気を流し、毛根を焼く施術です。毛1本ずつをターゲットにするため、狙った毛を確実に処理できます。レーザーでのヒゲ脱毛は「太い毛よりも細い毛の方が減りにくい」「まばらに減っていく」という特徴があり、施術を重ねても頑固な毛が残りがちです。そういった毛に対しては、ニードル脱毛を併用すると効果的です。
ヒゲ脱毛の心配されるリスクは?
●痛みはないの?
ヒゲは1本1本が太く毛根も深いため、レーザー照射時に熱が伝わりやすく、痛みも感じやすい傾向があります。ただし、医療機関は患者の痛みを最小限にするよう施術を工夫しています。例えば、「本来であれば1秒間に2回打てるレーザー機器でも、すばやく何度も打つと痛みは強くなるので1秒に1回ゆっくり打つ」「患者に痛みを確認しながら、打つ速度・出力を調整する」「肌をしっかり冷やして熱ダメージを減らす」など。このような工夫によって痛みや皮膚トラブルは軽減されます。
●ヤケドはしない?
ほとんどの医療用のレーザー機器には皮膚を冷やす冷却機能がついているので、そういった機器を使用していればヤケドすることはまずありません。また、施術後は肌を鎮静させるために冷たいタオルでのクーリング、赤みや肌トラブルを抑えるための軟こうを塗ります。
●ニキビや炎症はできないの?
施術後、レーザーを照射した部位にニキビが出たり、毛のう炎(毛穴に細菌が入り込み炎症が起きる症状)になったりすることがあります。数日経っても治まらないときは病院に相談するといいでしょう。
●シミにはならない?
レーザー照射後に日焼けをすると、シミになる恐れがあります。日焼け止めを塗る・帽子をかぶるなど、日焼け対策をしてください。登山や海水浴・ゴルフなどアウトドアが好きな方は、日焼けを想定してシーズン中の施術は避けた方がいいでしょう。
●リスク回避には病院選びが重要!
こういったリスクを回避し、満足のいく施術を受けるには、脱毛処置の知識・技術を持つ医師や看護師がいる病院を選びましょう。施術前のカウンセリングを医師が担当しているかどうかもポイントです。
ヒゲの医療脱毛を受けられないケース
医療レーザー脱毛は安全で確実性の高い脱毛施術ですが、施術を受けられないケースもあります。例えば、次のいずれかに当てはまる場合などです。
- 光過敏症などの自己免疫疾患を持っている
- てんかんなどの持病で光刺激による発作が出る恐れがある
- ペースメーカー・除細動器を入れている
- リウマチの治療薬・一部抗生物質を服用している
- 1カ月以内に日焼けをした
- シリコンプロテーゼを入れている部位への施術
- アトピーの炎症(シミや赤み)が起きている部位への施術
まとめ
ヒゲ剃りの手間・時間を省き、肌荒れ改善や若見え効果も期待できるヒゲの医療脱毛。確実な効果・安全性の高い施術を求める方は、一度ヒゲ脱毛を扱う病院で相談してみてはいかがでしょうか。
つかはらクリニック 院長 塚原孝浩
※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。