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塗り薬が効く?手のひら多汗症の原因と治療法【皮膚科医監修】

手のひらに汗をかきやすく、悩んでいる方は少なくありません。手のひら多汗症は健康に問題をきたすような病気ではありませんが、本人にとっては日常生活に支障が出ることもある深刻な症状です。

そこで今回は、手のひら多汗症の原因や治療法について、皮膚科医の猿喰浩子(さるばん ひろこ)先生に教えてもらいました。

猿喰浩子

地方独立行政法人 市立東大阪医療センター 皮膚科部長・医務局長

山口大学医学部卒業後、大手前病院や大阪警察病院・関西労災病院などに勤務。

現在は、市立東大阪医療センター皮膚科部長・医務局長を務める。専門はアレルギー性皮膚疾患や乾癬(かんせん)。

手から汗が滴ることも。手のひら多汗症の症状

手のひら多汗症は、その名のとおり手のひらに適量を超えた発汗をきたす症状です。人によって程度は異なりますが、深刻な人は手から滴るほどの汗をかくこともあります。そのため、紙やノートが濡れてしまう・手がすべって物を落としやすい・握手ができない・カビや細菌の感染をおこしやすいといったさまざまな支障が起こります。また、消極的な性格になる・人と接するのを避けるようになるなど、精神面に影響を及ぼすことも考えられます。

手のひら多汗症の原因とは? どんな人がなりやすい?

手のひら多汗症の原因ははっきりと分かっていません。

可能性の高い説では、自律神経の働きが関係していると言われています。何らかの原因で交感神経の働きが過剰になり、汗腺が活性化して多量の汗が分泌されるのです。

以下のような人は、交感神経が高ぶりやすいと言われています。

  • 日頃から精神的なストレスにさらされている人
  • プレッシャーを感じやすい人
  • 緊張しやすい人
  • 生活習慣が乱れている人

手のひら多汗症の病院での治療法

●「病院で治療する」という選択肢

手のひら多汗症の症状は健康に被害をもたらすようなものではないので、治療をするか否かは本人次第です。しかし先にも述べたように、本人にとっては精神的な負担が大きく日常生活に支障をきたすことも。そこで検討したいのが病院での治療です。手のひら多汗症には、効果が高く体の負担も少ない良い治療方法があります。

●手のひら多汗症の治療方法

【外用薬(塗り薬)の処方】
多汗症の治療では、塗り薬を用いるのが一般的です。使用するのは、塩化アルミニウム溶液。汗腺を閉塞させて汗が出ないようにする効果があります。液体なので刷毛などを使って手のひら全体に塗ります。使用目安は1日数回。液はベタつきがなくサラッとしているので、日中でもストレスなく使えます。
手のひら多汗症の治療では、ほとんどのケースでこの外用薬を用います。副作用の心配も少なく(※1)塗り心地も良好、しっかりと効くので多汗症の方からの満足度が非常に高い薬です。
(※1 まれに、かぶれなどの副作用が出ることもあります)

外用薬での治療で効果が見られないときは、以下のような治療法もあります。

【イオントフォレーシス治療】
イオントフォレーシス治療は、多汗症の部位を水道水に浸して微弱電流を流す療法です。発生した水素イオンが汗腺に作用し、発汗を抑えます。ただし、この治療法を扱っている病院は限られます。

【交感神経切除術】
交感神経切除術は、手術によって交感神経を切断して発汗を抑える治療法です。この治療を行うと、手のひらは無汗になります。ただし、副作用で他の部位の汗が多くなることも。また全身麻酔下で行うため、体の負担も少なくはありません。

【ボトックス注射】
ボトックス注射は、美容皮膚科などで行われている多汗症の治療法です。ボツリヌス菌を注射することで交感神経から伝達される汗を出す司令をブロックし、発汗を抑えます。わきの多汗症以外の注射は保険適用外なので、高額になることも。

手のひら以外の多汗症、別の病気が隠れているかも

●多汗症はいくつかの部位で併発することが多い

多汗症を気にして皮膚科を受診する方の多くは、手のひらの多汗症です。しかし、手のひら以外にも足の裏やわきなどにも多汗症の症状は現れます。手のひら多汗症と他の部位の多汗症を併発している人も少なくありません。足の裏やわきの多汗症も、手のひらと同様に前述した治療で改善が可能です。

●全身性の多汗症は、別の病気が原因のケースも

このほか、全身に多汗症の症状が出るケースも。全身の多汗症は、単なる「汗っかき」で済まされがちです。しかし全身性の多汗症の背後には、重大な疾患が隠れているケースもあります。

以下のような症状は注意が必要です。

  • 急に寝汗がひどくなった
  • 急に汗の量が増えた

こういった症状が見られると、内分泌代謝異常(甲状腺機能こう進症など)や悪性腫瘍(リンパ腫など)・神経疾患(パーキンソン病など)などが疑われます。思い当たる節のある方は、一度医療機関で検査をおすすめします。

多汗症の症状緩和のために日常生活でできること

多汗症の原因ははっきりとはわかっていませんが、交感神経の過剰反応が一因だと考えられています。多汗症の症状を緩和させるには、交感神経を活発化させる要因を減らすことが大切です。

日常生活の中で以下の点に留意しましょう。

  • ストレスを溜め込まない
  • 規則正しい生活を心がける
  • プレゼンのように緊張が予測できる状況では、事前に十分な準備をする

まとめ

人との接し方にも影響することがある手のひらの多汗症。外用薬をはじめとする治療で改善が期待できます。お悩みの方は一度皮膚科に相談してみてはいかがでしょうか。

市立東大阪医療センター 皮膚科部長・医務局長 猿喰浩子

※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますので、予めご了承ください。

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