二枚爪の原因と治し方!足は水虫に注意って本当?【医師監修】
病気・症状と予防
2019年03月14日掲載
爪のトラブルの中でも頻発しやすいのが「二枚爪」。強い痛みがないため放置しがちですが、菌が入って炎症を起こす可能性もあります。また、二枚爪は栄養不足のパラメーターでもあるため、爪を観察することでご自身の体調変化に気づくこともできます。
そこで今回は二枚爪の原因やケア方法などについて、内科医の渡邉章範先生に教えていただきました。
渡邊 章範
上本町わたなべクリニック 院長
平成10年3月大阪市立大学医学部卒業。平成15年3月大阪大学大学院卒業(医学博士)。文部科学省特別研究員(PD)、大阪市立大学総合診療科後期臨床 研究医(シニアレジデント)を経て平成18年5月17日上本町わたなべクリニック開業し現在に至る。総合診療医として、テレビ・新聞出演も豊富。遺伝子・高血圧分野の英文論文多数。中小企業から大手企業までさまざまな会社の産業医としても活躍している。
『マシューズ生化学要論』(東京化学同人/平成25年11月)『病気の9割はこれで治る!血管と自律神経』(主婦と生活社/平成27年6月)『その痛みやモヤモヤは 「気象病」が原因だった 気象の変化が、自律神経を狂わせる!』(青春出版社)など著書多数。
二枚爪ってどんな状態?
●二枚爪とは
爪は背層(はいそう)・中層(ちゅうそう)・腹層(ふくそう)の三層から成ります。その層が何らかの原因で壊れて、ぜい弱になってしまうのが二枚爪です。医学用語では、爪甲層状分裂症(そうこうそうじょうぶんれつしょう)と呼ばれています。
●二枚爪の症状
二枚爪は、手足両方の爪に起こります。二枚爪になると爪がボロボロになったり、薄くなったり剝がれたりしてしまいます。ひどくなると化のうした箇所から菌が入って炎症を起こすことも。足なら菌が入って水虫に発展することも珍しくありません。
原因は乾燥・血行不良・栄養不足・爪の切り方など
二枚爪の原因は、以下が考えられます。
(1) 爪の乾燥
手を洗いすぎたり洗剤を使いすぎたりすると、爪が乾燥します。その結果、爪がもろくなり二枚爪になることがあります。特に空気が乾燥している冬場は注意が必要です。
ネイルをしている人は、乾燥が原因で二枚爪になりやすい傾向があります。ネイルを落とす際に使うリムーバーが乾燥を招きやすいため、長期間使用していると爪がもろく・薄くなってしまうからです。
(2) 物理的な衝撃
物理的な衝撃が原因で二枚爪になってしまうケースも多く見られます。例えば指を扉に挟んだ・爪先をどこかにぶつけたというケースが該当します。他にも爪の切り方が悪いと、爪の層が割れる物理的衝撃を与える原因になってしまいます。
(3) 栄養不足
爪は体の栄養状態を反映しているといえます。無理なダイエットで栄養不足になっていたり食事が偏っていたりすると、爪の発育が悪くなって二枚爪になる可能性が高くなります。爪の主成分であるタンパク質や、爪をつくる際に必要とされるミネラルやビタミンなどをバランス良く摂るようにしましょう。
(4) 血行不良
血行が悪いと指先まで栄養が届きづらくなり、爪の成長に悪影響を及ぼします。その結果、爪が十分な厚みに成長せず、二枚爪になることも。
(5) 内科系の病気
内科系疾患が原因で、二枚爪になることもあります。疾患を抱えた体は栄養不足になりやすく、爪が正常に発育しにくくなるからです。
二枚爪のケア方法
二枚爪になってしまったら、以下の項目に気をつけましょう。一度もろくなってしまった部分は直りませんが、悪化を防止して新しい爪が健康に生えてくるよう促すことは可能です。
●爪を切るときは、やすりで削る
爪切りでバチンバチンと衝撃を与えるような爪の切り方をすると、爪に物理的ダメージを与えてしまいます。爪が弱っているときは、爪切りではなく爪用やすりを使いましょう。物理的な負担を軽減できます。
●爪切りを使うなら、端からゆっくり切る
「それでも爪切りを使いたい」という方は、爪の端からゆっくり切っていくようにしてください。また、爪をふやかすと優しく切れるので、お風呂上りに爪を切ると良いでしょう。
●血流を改善させる
血行不良は爪の栄養状態を悪化させます。血流を改善するために体や手指を動かして、手指を温めるようにしましょう。
●乾燥対策をする
水分不足は爪の乾燥を悪化させます。そこで、水分をたくさん摂って乾燥しないように心がけましょう。また、お風呂に入る・手湯をするなど、手そのものを潤してあげることも効果的です。ただし、濡れた手を拭いたあとはハンドクリームを使って保湿することを忘れずに。
●マニキュアを控える
二枚爪になっているときは、マニキュアはお休みしましょう。弱っている爪にマニキュアをし続けていると、余計に爪が剝がれてボロボロになってしまう恐れがあります。
足の二枚爪は水虫に注意
二枚爪は、足の爪より手の爪に多い症状です。しかし菌が入ったり悪化したりしやすいのは、手よりも足の爪です。足は二枚爪になっていることに気づかれなかったり、二枚爪になっても不自由なく生活ができるからか、放置されたりしているケースが多々あります。しかしそれらが原因で、気がついたときには悪化して、水虫などになっている方が多くいます。
そこで、足の爪を切るときは爪の状態までしっかりチェックすることをおすすめします。また症状を悪化させないために、足はお風呂で丁寧に洗って清潔にする・通気性のいい靴や靴下を履くといった工夫をしましょう。
二枚爪になったらどうすればいい?病院での治療法は?
病院で受けられる二枚爪の治療法としては、保湿剤の処方や栄養指導・生活指導などがあります。基本的に二枚爪は、乾燥対策や血行改善・栄養をしっかり摂るといったセルフケアで治すことが可能です。しかし、菌が入って炎症を起こす可能性や内科系疾患が隠れている恐れもあるので、不安な方は病院を受診することをおすすめします。
まとめ
きれいな指先をキープしたい方にとって、二枚爪はかかりたくない病気のひとつ。しかし二枚爪は、日頃からの保湿ケアや血行改善・栄養をしっかり摂るといった対策で予防可能です。ぜひご紹介したケア方法を実践してみてください。また、二枚爪で悩んでいる方には、それ以上悪化させないよう一度病院に行くことをおすすめします。
上本町わたなべクリニック 院長 渡邊 章範
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